最強ダンディ部長A(50)と彼に一目惚れした超有能イケメン課長B(39)の初対面挨拶

(部長専用の執務室で)

「課長のBです。今日からよろしくお願いします」

「これから君の上司になるAだ。よろしく」


「……

 なるほど」

「ん?」

「いえ、お噂通りだと。

 仕事は完璧だし、顔もスタイルも完璧。

 と来れば……次は中身が気になりますね」

「はは、そうか。財布の中身は生憎薄いぞ」


「……財布の話ではなくて。

 僕が言ってるのは、その最高級スーツの中身の話です」


「……

 知りたいか?

(すいと近づいて囁く)これから少しずつ見せてやるから……焦るなよ」


「……!」


「(ニッと微笑む)男は顔じゃなく中身だ、って言いたいんだろ?

 まあしばらく一緒に働けばそんなものは嫌でも見える。……しかし君は皮肉が上手いね」

「……

 そういうあなたは口説き文句を受け流すのが実にお上手だ」

「は? 今のが口説き文句ならばとんでもない赤点だぞ。そんな隙だらけの言葉じゃ口説かれる方もがっかりだ」

「(ムッと)これはまた……随分ですね」

「(クスッ)今まで勝率10割か?

 私を靡かせたいなら、私を本気で悩ませる口説き文句を持ってきなさい。80点取れたら聞いてやらなくもない。

 じゃ、まあこれからよろしく」

「——(ぐっと悔しげに)よろしくお願いします」


「ああ、ついでにコーヒー持ってきてくれないか? 有能な君なら簡単だろう?(クスクスッ)」


「…………『くっっそおお……マジ頭きた……経験豊富過ぎるアラフィフフェロモン上司絶っっ対落とす……!!!』」




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