第28話
「ジブンたちは英雄の血族だ。このクローバの村へやってきたのはこの村の現状を解決するためではない。ただ、ジブンはジブンの目的のためにやってきただけだ。
そして、ここの実情を観てここの人々を救いたいと思ったのだ。
ジブンたちは、ここを救いたい。でも、正攻法では救えない。ここの正攻法とは過去の栄光と同様な価値を見出すことだ。しかし、その方法が叶ったとしてとしても彼らは望まない。
だから、一つの仮説を立証するのが全員を助けられる可能性だと判断した。それが完全な魔物との共存だ。しかし、仮説で絶対に救えるわけではない。
ジブンたちのやろうとしているのは自己満足だ。
見返りなく人を救う行動は偽善と呼ばれ、ジブンたちの行為は世間からすれば間違いなのだろう。それでもそうしたい。
時間がないのだ。
数日後には、村の税の支払い期限。彼らの処遇が決定してしまう。
早くこのダンジョンを攻略し映えた過去を得なければならなかった。その他にできるのはこの地から離れること。しかし、離れるにはある程度の準備が必要になる揃えるには金銭が不可欠になるのだ。
そこまでワタリは語ると、一度瞼を閉じてゆっくりと開いた。
「はっきりと聴かせてもらってもよいだろうか。このダンジョンを訪れたとき、もう、ナガトの存在に気づいていたのだろう?
ジブンはそなたに偉そうな言葉を連なれていながら行動が伴っていない若輩者だ。
そなたはナガトを見つけるためだけにここへ入った。救うなど助けるなどの理由など持たずにただただ、一人のために行動した姿がジブンには凛々しく見えたのだ。だから、そなたに胸の内を話したいと思ったのだ。黙って聴いてくれて感謝する」
ワタリは云う。
「そなたにはもう見えているのだろう? このダンジョンに可能性はあるのだろうか?」
俺は首を横に振った。
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