第23話
「ふん。ナガトに云われたからだ」
云われたからって手間がかかりますよ。
「そなたを弟のように扱えとな」
え、弟さん?
「ムラベは弟ようなものだが、実際にいるのは妹だ」
存じてます。
「そなたを遣わしたのは妹だな」
げっ。
「妹は思慮深いが肝心なところが抜けてしまうきらいがある。善人を演じられないそなたを選んでしまったのは性格の一端だ。大方、その鞄に入ってる縄でどうこうするそんなところだろう?」
思慮深いお姉さんには大雑把な計画まるっと丸見えで駄目でした。
彼女の腰にある剣の錆になるのだ、と思っているとワタリは少し淋しげに眉を下げた。
「妹とは仲が良くはないのだがお互い恨んではいない。ある程度の行動も思考も予想できたりする。だが、気持ちがすれ違っているのを理解しても肝心などこがずれているのか見つけられない」
そこまで云うと彼女は軽くため息を吐いた。
「まあ、いい。そなたには無駄な話だった。妹も味を重要にしていた。料理は美味しければいいわけではない。栄養を得られなければ何の役にも立たない」
そうなんですね。
「だから、料理下手ではない」
いや、誰もそんな発言はしてませんよ?
「合理的に考えた結果の行動だ」
そうなんですかね?
「勘違いするなよ。そなたの心配などしていないのだからな!」
ワタリは鼻を鳴らして口元を動かしている。食べている間、彼女は喋らなかった。
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