第16話
「でも、温かいよね」
ナガトは続けて云った。
「お礼をしてもされても温かくなるよね? あれは何でなんだろう? お兄ちゃん知ってる?」
えっと。
こういった場合は常識を伝えたほうがいいのだろう。礼儀だから礼節だから当たり前だからとか伝えるべきなのだろうけど、子供の夢を壊すように尋ねられて合理的に自分は答えてみた。
感謝が人と人が心を通わせる唯一の方法だからじゃないですかね?
「え?」
へ?
見ればきょとんとした顔をナガトはしている。というか俺たちを見ていた村人がこっちをみて同じ顔をしていた。俺の後ろで何か大事件でも起こったのかと振り向いても、何の変哲もない。この人たち俺だけ視えてないなんて、怖い事実を云わないよね?
「あれ? お兄ちゃんがよい台詞を云った気がする」
村人を代表してナガトはそんな風な軽い台詞を吐いたあと、
「そんなわけないか。お兄ちゃんだし」
自身の思い違いだと決断するよう云い切った。
…………。
この子には節度は必要だった。
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