第7話 連休前
結局、翔吾と京子は学校以外で顔を合わすことがほとんどなくなった。
けれども、翔吾は律儀に晩御飯だけは作って夜な夜な出かけたり、部屋に籠ったりと徹底的に京子を避けていた。
そんな中、学校にある噂が流れた。
翔吾と京子の喧嘩の噂と不良狩りの噂。
ここ最近、夜になると犯罪ギリギリを犯している不良がボコボコになっているというものだった。そして、傷だらけの不良が街の清掃活動や学校の授業に積極的に受けているという噂だった。
実際、多くの人たちに見られ感謝された不良が謙遜するというのを京子もよく見かけた。
「なんか最近、強面な高校生が至る所で掃除や手伝いしてるの見ると変な感じがするね、京ちゃん」
「ええ、そうね」
「も〜う〜、まだ翔君と仲直り出来てないの!?早くごめんなさいしないと連休しんどくなるよ?」
「だって〜翔吾、中々家にいないんだよ?なのにどうしろって言うのよ」
京子は、毎日顔を合わせていた翔吾と全くと言って良いほど顔を合わせなくなり夜な夜な1人で枕を濡らしている。
「素直にごめんでいいんじゃないの?」
みのりは首をかかげて答える。
「それが言えたらこんなになってない」
「はぁ〜じゃ〜自分で頑張りなよ?私は、素直にって提案はしたからね」
みのりはため息を吐き、学校へ向かった。そして、2人は無言で登校するのであった。
学校の授業は、代わり映えのしないいつもの日常。
放課後になり、京子は帰宅をするも今日も晩御飯が準備されていた。
京子は、それを食べ、テレビを見ながらソファーに座っていた。そして、いつの間にか寝落ちをしていた。
京子は、玄関が開く音で目が覚めた。だが、翔吾と顔を合わすのは気まずいため、不貞寝をしてやり過ごそうとした。
「ただいま〜。って京子、珍しくソファーで寝てんのか」
翔吾は、独り言を呟くがばっちりと京子は聞いていた。そして、翔吾は寝ている京子に近付き、優しく京子を抱き抱え部屋まで運んだ。
ベッドに京子を寝かせた翔吾は、京子の頭を優しく撫で囁く。
「京子、ごめんな。寂しい思いさせて。でもあとちょっとで終わるから我慢してな。好きだよ」
聞いてないからとばかりに翔吾は、自分の思いを呟いたが、京子は不貞寝をしていたため、ばっちりと聞いていた。
あとちょっとが何なのかはわからないけど、それよりも好きと言われたことに京子は、内心かなり悶えていた。
そして、京子は1人悶々として中々寝付けず寝不足となるのであった。
ちなみに翌日、みのりに隈を指摘され昨夜のことを話すと教室に着くまでニヤニヤとみのりに弄られるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます