第4話 今日のご飯は何にしよっかな
放課後、翔吾は晩御飯の買い出しをするためにスーパーに立ち寄っていた。
「今日の〜晩御飯〜何作ろっかなぁ〜♪」
ルンルンな気分でカートを押して野菜売り場から回る。よく行くスーパーなので顔見知りの主婦や店員さんに挨拶や会釈をしたりして仲良くなっていた。
特に店員さんとは仲が良かったりする。たまにこっそり30%オフのシールを貼って貰うほどに。店長の気前がいいときは直々に半額シールを貼って貰ったりもする。
そんな中、去年から良く見かける男の子に会った。制服が変わってたから中学から高校に進学したのだろうと初々しく思っていた。
「やあ!久瀬くん、久しぶりだね!最近見なかったけど高校生になったんだね。学校どう?」
「あ、倉田さん、お久しぶりです。ええ、今年から八草に入りました」
「おぉ〜八草なんだ。私立で1番の進学校だもんね。多種多様のジャンルに強いから良い学校だね」
「そうなんですよ。姉の母校で特待生になれたら学費免除ですし、進路も色々開けるので頑張りました」
「久瀬くん、頭良いんだね!八草で特待生取れるなら桃谷なんか楽勝で入れるよ」
翔吾の通う桃谷高校は、県内の公立高校で五本指に入るほどの進学校である。
久瀬少年が通う八草高校は、私学の超がつくほどの名門校でそこを卒業すれば進学も就職も有利と言われるほどの学校である。
「それじゃ、俺はこれで失礼します。また」
そう言うと久瀬少年は、去って行った。
「いやぁ〜、八草は頭良いな。久瀬くんとまた会えたら良いな」
翔吾は、そう呟くと買い物を再開した。
ちなみにその日の晩御飯は、唐揚げに30%オフを貼ってもらい、唐揚げ親子丼を作るのであった。
夜、晩御飯を食べ終わり翔吾は食器を洗い、京子はソファーでスマホをいじって寛いでいた。
「そう言えば、京子お前また告白されたんだって?サッカー部のキャプテンだったか?今回は」
いきなり今日の放課後にされた告白の話を振られ、京子は驚いて翔吾の顔を見た。
「なんでその話知ってんのよ?まだみのりにも言ってないのに」
「ふふふ、俺の情報網を舐めるでない」
翔吾は、食器を洗いながらドヤ顔で答える。
「キモっ、どんな情報網なのよ」
「神がかり的な?それでまた断ったわけだけどなんでお前、彼氏作らないわけ?サッカー部のキャプテンって言えば顔良くて爽やかで性格もいい人だぞ?」
「べ、別にあんたに関係ないでしょ!」
京子は、ぶっきらぼうに翔吾の質問に返事をする。
「そうだな、確かに関係ないな。けど俺は、お前の兄貴だから義妹には幸せになって欲しいし、いい加減なヤツとは付き合って欲しくないと思ってる。それだけだから」
翔吾は、話終わると同時に皿も洗い終わった。
「ちょっくら、走って来るわ」
それだけを言い残し、リビングから出て行った。
「好きな人に好きって言えなくて好きな人に恋愛対象にも思われてないのよ。それでも諦めて他の人と付き合うなんて出来ないの」
京子は、独り言を呟き目から雫が溢れる。それを隠すようにクッションに顔を埋めた。
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