第2話 爽やかな朝に・・・
「倉田兄は後で職員室な。それまでスケボーは没収。さて、気を取り直して出席とるぞ〜」
「そんなぁ〜」
翔吾の嘆きは、華麗に無視され出席を取られていく。
そして、ホームルームが終わり始業式に向かう。筒がなく始業式が終わると本日は解散となるが、翔吾は京子とみのりに連行され職員室へと向かうのであった。
「失礼します。2年3組の倉田です。
「おー、こっちまで連れて来てくれ。倉田妹、中村、ありがとう。助かったわ。それで?倉田兄は、何で遅刻した?妹の話では朝早くに出たらしいじゃないか」
連行された翔吾は、担任改め笹田の席の目の前に正座させられた。もちろん、後ろには仁王立ちをして腕を組んだ京子とニコニコしたみのりがいる。
「いやぁ〜、5時に目が覚めてカーテンを開けたら余りにも爽やかな朝だったのでちょっと波に乗ろうかと海まで行ってました。夢中になってたら遅刻しちゃって」
バツ悪そうな顔をした後、テヘペロと頭をかきながら舌を出す翔吾。誰得だよ。
「ちょっと待って。なんで1人だけサーフィン行ってるのよ?誘ってくれないなんてずるいわよ」
「悪かったって。京子と行くなら前日から言っとかないと時間かかるし、思いつきだからあえて誘わんかった」
「次からちゃんと誘ってよね」
「はいよ」
抗議の声を上げたのは意外にも京子だった。
実はこの2人、父親の影響でサーフィンが趣味であった。暇さえあれば、よく海に行っていたのである。
「へぇ〜。お前ら良い趣味してんだな。まぁ〜、倉田兄、今日は大目に見てやるから次からは遅刻には気を付けろよ?だけど廊下でスケボー走らせた事に対する反省文を書いて来い」
笹田は、理由がわかり初回ということで注意と反省文だけで終わった。去年の担任から聞いた話では、この倉田翔吾という男は真面目に相手をしてもキリがないと言われている問題児なのである。ただ、起こす問題が悪いことばかりじゃないのが教師たちの頭を悩ませる種となっているのだ。
説教も注意で終わり、早速さに3人は職員室を後にした。
「翔君、朝からサーフィン行ってたんだ。元気だね」
「まぁ〜ね。思い立ったらどうしてもやりたくなるからね。それよりみーちゃん、今朝は雄介君もいたよ。俺なんかよりみーちゃんに会いたかったって愚痴られた」
「も〜う〜、ユウ君ったら言ってくれたら会いに行くのに」
「相変わらず、ラブラブね。みのりと雄兄って」
説明しよう。雄介こと松本雄介19歳(今年二十歳)は、翔吾、京子、みのりの3歳歳上の幼馴染で兄貴分なのである。そして、みのりの彼氏で親公認の仲でみのりが18歳になったら籍を入れるという話があったりなかったりするのであった。
「そいやぁ〜、昼飯、どっかで食べて帰る?家で食べる?」
「ん〜、せっかくだから食べて帰ろっか。みのりもそれでいい?」
「大丈夫だよ!お母さんにバッチリ今日のお昼ご飯代貰って来たから!」
そう言って握り拳を胸の前で作るみのり。余りにも癒される動作だったので京子は頭を撫でる。
「もうっ!京ちゃん、子ども扱いしないで!」
「ごめんごめん、みのりに癒されて撫でちゃった」
「仕方ないから許してあげる」
プイッと怒ったようにするみのり。
うん、子どもみたいだ。だがしかし、この子は見た目に騙されてしまうことがあるのであった。
そうして、3人で近くのファミレスで昼食をとり、みのりを見送ると翔吾と京子はスーパーに寄って自宅へ帰って行った。
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