男子高校生は青春がしたい!〜ただし、自由過ぎる性格により恋愛は困難である〜
八浪 凛
第1話 新学期
「おはよう。京子!俺もう出るから戸締り頼むね!味噌汁作っといたから」
「おはよ〜。行ってらっしゃい」
まだ肌寒い4月の初め。
京子は、義兄の翔吾に起こされ目を覚ます。
今日から新学期で春休みのぐうたらした生活習慣が抜けなくて昨夜、起こしてもらう約束をしていた。起こしてもらって起きたけれどもう出ると言う翔吾の言葉に反応し、眠い目を擦りながら時間を確認する。
午前5時37分
「はぁ?」
思わず、声が出る。
それもそのはずだ。家から高校まで歩いて40分の距離しかないのに6時前に家を出る高校生がどこにいるのだろうか。
「まぁ〜いいや。朝ご飯食べてゆっくり準備しよっ」
こうして京子の新学期は、始まった。
=====
「京ちゃん、おはよ〜!今日は早いね。どうしたの?」
「みのり、おはよう。聞いてよ〜、うちのバカ兄貴にね、今朝起こしてもらったんだけどさ、5時半っておかしくない?それでそのまま出て行くって何考えてんのよって感じよね」
「あははは〜。翔君のことだから新しいクラスで何かしら仕込みしてるかもね」
「迷惑極まりないわね。絶対、同じクラスになりたくないわ」
彼女は、中村みのり。翔吾と京子の小中高と一緒の幼馴染である。
黒髪ロングで150㎝みたない小柄な女の子で小動物のような愛らしさがあり、おっとりとしている。胸はEカップ。
ちなみに京子は、身長157㎝のDカップである。
2人は仲良く登校し、クラス替えのクラスを確認した。
「あ!京ちゃん、あったよ!3組で同じクラスだよ!!楽しいクラスになりそうだね」
「本当にね。みのりと同じクラスなのは嬉しいんだけど翔吾と同じクラスってことを除けばね」
みのりも京子の言葉を聞いて苦笑いするしかなかった。確実に先生たちの陰謀が見えてしまったからだ。
翔吾の奇行を制御出来る人間としてみのりと京子は有名だった。いや、元々学校一の美少女と癒しキャラで有名なのだが、翔吾の暴走を止めれると言うだけで教師からも一目を置かれていた。
翔吾の奇行は、本当に停学になるかならないかのギリギリラインで主に京子が頭を下げて反省文を書かせて提出しているから許されているようなものだった。
京子とみのりは教室に行き、話していたらホームルームの時間になって担任がやって来た。
「おーい、席につけよ〜。全員、、、揃ってないな。倉田妹、兄貴はどうした?」
京子は、新学期早々、頭を抱えた。さっきから連絡しても繋がらないからである。
「わかりません。今朝5時半過ぎに家を出たっきり会ってませんし、連絡着かないので」
「はぁ!?」
担任もどうリアクション取ればいいのかよくわからなかった。
「仕方ないので放置しましょう。いちいち構ってたらキリがないですよ」
「それもそうだな」
担任も翔吾の噂を知る新しいクラスメイトもみんな苦笑いするしかなかった。
「それじゃ〜出席とるぞ」
担任がそう言うとどこからかシャーーっと言う音が聞こえて来た。
誰かが呟いた。
「ん?これ何の音?」
京子とみのりは顔を見合わせてため息と苦笑いをした。
音はどんどん近くなってくる。京子は、席を立ち後ろのドア前に移動して仁王立ちした。
そして、京子が仁王立ちしたそのドアがゆっくりと音を立てないように開いた。
ドアを開けた人物と京子は、目が合った。
「水色」
「新学期早々、何してくれてんの、バカ兄貴っ!!」
「ぐふぇ」
遅刻してやって来た翔吾に拳骨を喰らわす京子であった。
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