第4部 We Are The Rainbow Noise

第3部までのダイジェスト

つむぎの高校リタイアと、希和まれかずへの恋慕


 高校二年生の紬実つむみ(紡)は、様々な役職をこなし人気者の彼氏を持つ優等生だった。しかしクラスでの人間関係の軋轢や、多くの仕事を押しつけられた負担から、心身の不調を患い不登校になる。

 疲弊した紡の心を救ったのは、希和(和枝かずえ)がウェブに投稿していた小説たちだった。投稿サイトでメッセージを交わすうち二人は意気投合、紡は希和の小説にアドバイスを求められる関係になる。


 希和は同年代の男子高校生で、同じ部活で過ごす女子に片想いを募らせており、その憧れと諦めは小説にも反映されていた。紡は表面上は彼を応援しつつ、彼の純粋な愛情を向けられる女子に憧れていく。やがて紡は、顔も声も知らない希和に明確な恋心を抱くようになった。



◎希和の学校生活と失恋


 希和は中学生の頃から、同学年の詩葉うたはに片想いを続けていた。高校に入ると、彼は詩葉との縁がきっかけで合唱部に入部。仲間としての関係を壊したくないと詩葉への告白を先延ばしにするうち、詩葉から同性愛を自覚したことを告げられる。

 同時に、合唱部の後輩である陽向ひなたもレズビアンであり、詩葉に恋していることを知る。希和は詩葉との交際を諦め、詩葉と陽向の関係を後押しした。そして二人が恋人となった後、希和は詩葉に想いを伝え、晴れて友人になることを約束。


 恋を叶え友情を守った希和たちは、合唱部のステージでも熱いチームワークを発揮。しかし希和は詩葉への執着を捨てきれず、合唱部からの引退を機に彼女と距離を置くようになった。

 


◎紡の再起、希和の急逝


 紡は希和との交流に支えられ、高校をリタイアしてからも勉強を続けていた。しかし希和を好きになるほど、彼に拒まれたり裏切られたりするのが不安になり、想いを伝えられずにいた。

 それでも、受験勉強の末に志望校に合格し、新天地での生活が充実してきたことで、紡は希和との対面を決意できた。しかしその連絡を送った直後、希和は進学先で事故に遭い命を落としてしまう。


 希和は自分の急死に備え、家族や知人にメッセージを遺していた。その遺言によって紡は、希和の故郷である信野のぶの市に招かれる。そこで紡を待っていたのは、希和の急逝によるショックで声を失っていた詩葉だった。詩葉は紡のことを希和から聞いており、大事な人と会えずじまいになった紡のことを心配していた。

 希和の家族や部活の仲間たちを訪ね、思い出を振り返るうちに、紡は希和が重ねた喜びを実感し、詩葉は声を取り戻す。希和の喪失を乗り越え、彼との思い出を分かち合う仲間として、紡と詩葉は大事な友人となっていた。



◎紡と雪坂メンバーとの交流


 希和や詩葉たちが通っていたのが雪坂ゆきさか高校であり、その卒業生も多いのが信野市立大学である。信野大の学生有志と希和たち合唱部は、HumaNoiseヒューマノイズというチームを結成して合同でゴスペルライブを開催。その流れを汲み、翌年にHumaNoiseはサークルとして設立された。

 HumaNoise創設者のジェームズにはオリジナル曲を作ろうという構想があり、希和はその作詞を手がける予定だった。希和の意向に従い、その構想を紡が継ぐこととなる。さらに大学サークルとは別に、合唱部卒業生が集う同窓会ライブの構想も動き出していた。


 紡にとって新たな居場所となった、合唱部関係者のコミュニティ。希和を悼む仲間たちは、紡と想いを分け合うことで前向きさを取り戻していた。

 しかし紡は、希和への愛情を薄めることができず、別の誰かに恋愛感情を抱くことなど考えられなくなっていた。

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