第12話ラストマジックショー

ぼくがサンフラワーでマジックショーをするのも、最後の日となった。

本当はもっとマジックショーをしたかったけど、サンフラワーの人気は前よりもすごくよくなったんだ。

ちなみにサンフラワーをなくそうとしていた藤代不動産は、大島さんの証拠しょうこが決め手になって、社長の将矢まさやと係長の新田にった逮捕たいほされて倒産とうさんしてしまったんだ。しかも後藤ごとうという政治家は、この一件の問題が原因で新聞やテレビで非難ひなんされるようになったから、再開発計画は中止になったんだ。

前よりもメニューとサービスがとてもよくなったし、なにより常連客じょうれんきゃくがふえたことでよりにぎやかになったからね。

それから大島さんがインターネットで、サンフラワーで演奏えんそうやショーをする人を募集ぼしゅうしたんだ。そうしたらすごい数の人たちが応募おうぼしてくれたんだ、だからぼくがマジックをしなくてもサンフラワーは毎日パーティーみたいに楽しくなれるよ。

でもやはり最後にはマジックをしないと、最後の舞台ぶたい台無だいなしになってしまうからね。

「イーサン、いよいよ出番だよ!」

武田くんがぼくのかたに手をおいた、ぼくの最後のマジックということで、みんなが来てくれたんだ。

「うん!みんな、行ってくる。」

「いいショーを見せてくれ。」

風間くんが言った。

「がんばれー、イーサン!」

斎藤さんが元気な声で言った。

「千秋楽、がんばれよ!」

神島くんも応援している。

「楽しみにしています!」

松岡くんも応援している。

「イーサン、ぼくはとても楽しみだよ!イーサンのマジックが!」

「もう、そんなこと言って・・・。私だってイーサンのマジックを楽しみにしているんだから。」

杉野くんと水澤さんも、応援している。

そしていよいよぼくは、舞台に立ったんだ。

「みなさん、お集まりいただきありがとうございます!急な話なんですが、ぼくがサンフラワーでマジックショーをするのも、今日で最後となりました。すごくざんねんなことですが、ぼくはこれからも不定期ふていきではありますがサンフラワーてマジックショーをしていくつもりです。そしてサンフラワーが、これからもみんなのいこいのお店として続いていくことをいのっています。さあ、それではぼくの最後のマジックショーを、心行くまでお楽しみあれ〜!」

そしてぼくはコーヒーカップを二つ取り出した、そのうちの一つにアシスタントとして参加さんかしてくれた三原さんがコーヒーを入れた。

「さあ、このコーヒーカップにはコーヒーが入っています。どなたか味見をしてくれませんか?」

ぼくはお客さんたちに呼びかけた、一人のおじいさんが名乗り出た。おじいさんはコーヒーカップのコーヒーを、一口飲んだ。

「うん、美味しいコーヒーだ。」

「ありがとうございます、それではこのコーヒーをもう一つのコーヒーカップにいれまーす!」

ぼくはコーヒーカップのコーヒーを、もう一つのコーヒーカップにそそいだ。

「さあ、もう一度味見をお願いします。」

おじいさんはもう一度コーヒーを一口飲んだかと思いきや、おじいさんはとてもおどろいた表情になった。

「はりゃっ!!これはどうなっているんだ、紅茶こうちゃになっているぞ!!」

「はい、コーヒーが紅茶になってしまいました。それではこの紅茶をべつのコーヒーカップに移したいと思います。」

三原さんがべつのコーヒーカップを出した、ぼくはそのコーヒーカップに紅茶をそそいだ。

「はい、もい一度飲んでください。」

おじいさんはもう一度紅茶を飲んだかと思いきや、またおどろいた顔になった。

「おりゃ!!またコーヒーの味になったぞ!!」

「はい、またコーヒーにもどりました!!以上、不思議なコーヒーカップでした!!ご協力ありがとうございました。」

ぼくはおじいさんにお礼を言った、おじいさんは「楽しかったぞ」と言いながらもといた席へともどっていった。

「それでは次のマジックに行きましょう、今度はこの食パンを使ったマジックをします!!」

ぼくは食パンにバターをぬって皿にのせた。

「さあ、この魔法まほうのマントをつかって食パンを焼いて、トーストにしたいと思います。さあ、こんがり焼きあがるのでしょうか?」

ぼくは食パンをのせた皿にマントをかけた、そしてぼくは適当てきとう呪文じゅもんをとなえてマントを取ると、食パンはこんがり焼けてトーストになった。

「なんと、食パンがトーストになりました!さあ、今度は食パンをまた別の料理にしようと思います。」

三原さんが別の食パンをのせた皿を持ってきた、ぼくは同じようにマントをかけて呪文をとなえた。

そしてマントを取ると、さらの上にはサンドウィッチがおかれていた。

「あけてビックリ!美味しそうなサンドウィッチができました。さあ、今度は何を作ろうかな?」

また三原さんが食パンをのせた皿を持ってきた。マントをかけて呪文をとなえると、黄色いフレンチトーストがさらにおかれていた。

「さあ、できあがったのはあまくておいしいフレンチトーストです!!以上、「マントでクッキング」でした!!さあ、本当に最後のマジックとなってまいりました!そこで、最後のマジックにはトランプを使おうと思います。」

ぼくはふくむねポケットから、トランプを取り出した。

「このトランプを使ったマジックをするのは初めてです、うまくいくかどうかわかりませんが、みなさん応援をおねがいします。」

ぼくはジャック・クイーン・キングのカードを二枚ずつテーブルに伏せた。

ぼくがやるマジックはこの六枚のカードのうちの一枚を、ジョーカーのカードにえるというマジックだ。

「このテーブルにはジャックとクイーンとキングのカードが二枚ずつせられています。ぼくがこのカードの一枚を、ジョーカーのカードにします。」

ぼくは伏せたカードを一枚ずつお客さんに見せながら言った、そして六枚のカードをまとめてシャッフルした。

そして一枚ずつカードをめくっていった。

一枚目・・・、クイーン。

二枚目・・・、ジャック。

三枚目・・・、ジャック。

四枚目・・・、キング。

五枚目・・・、クイーン。

そして運命の六枚目・・・、このカードは一体なんなのか?

「お願い、ジョーカーのカードでありますように・・・。」

六枚目・・・、ジョーカー!!

「なんと、最後の最後でジョーカーが出ました!マジックは大成功です!!みなさん、応援ありがとうございます!」

お客さんたちはぼくにとても盛大なはくしゅをしてくれた、ぼくもマジックの成功と盛大なはくしゅに、「やったぞ!ぼくは、やりとげたんだ!」という気持ちが強くなった。

そして盛大なはくしゅをあびて、ぼくはバックヤードへと戻った。

「すごいよ、イーサン!」

「いつもより上出来だったよ。」

「楽しかったわ、イーサン!」

「うん、いつもよりおもしろすぎだよ。」

「最高だったよ、マジでおもしろかった!」

「やっぱり、イーサンのマジックはすげえ!おれもできるようになりたいぜ。」

「ええ、私だって人に見せられるマジックショーをやってみたいです。」

「でもイーサンみたいになれるのは、とてもむずかしいなあ・・・。」

「ああ、やっぱりイーサンのマジックは感動するなあ・・・。」

「うん、どのマジックも心を打たれたわ。」

みんながぼくのマジックをすごくほめてくれた、ぼくは照れてとてもうれしくなった。

「みんなありがとう、最後にとてもいいマジックができてよかったよ。これからもいいマジックができるようにがんばるから、これからもお願いします。」

ぼくはみんなに頭を下げた。

「ああ、よろしくな。」

「そんなかたいこと言うなよ、おれたちは仲間じゃないか。」

武田くんと神島くんの言葉がとてもうれしかった。

ぼくはこれからも、みんなの心にとどく最高のマジックをするぞ!









さて、ぼくたちイーサンの仲間になった杉野くんと水澤さんなんだけど、実はそれはかり姿すがた

その正体は、杉野くんがボーで水澤さんがガーというんだ!

「いやあ、イーサンのマジックおもしろかったー!!」

「まだ、言ってる・・・。もうわかっているのに。」

「えへへへ、はやくアゴノ様へ報告しに行かないと。」

「そうね、寄り道していられないわ。」

ぼくたちは「アゴハ遊撃隊」に所属しょそぞくしている、

ぼくたちのボス・アゴノ様は、とても強くて頼りになるんだ。

こわくて冷たいこともあるけど、私たちのことは絶対に見捨てない、優しいボスなんだ。

ぼくたち二人はアゴノ様の下僕げぼく、だけどぼくたちにひどいことはしないし、ぼくたちにいろんなものを与えてくれる。だから下僕げぼくと言われても気にしないんだ。

それでぼくたち二人は、アゴノ様から「新しいパワー・ストームの継承者けいしょうしゃが現れた、二人にはどんなやつなのか観察してほしい。」と命令されて、イーサンに近づいたというわけ。

街中を歩いていると、ゴブリノさんとジャージーペガサスが歩いているのを見かけ、声をかけた。

「二人とも、基地に帰るのか?」

「あ、ゴブリノさん。報告しにいくんだ。」

「そうよ、ジャージーペガサスさんもおでかけなの?」

「ああ、おれとゴブリノも基地へ帰るところだ。」

ゴブリノさんはゴブリン、ジャージーペガサスは黒い羽のペガサスなんだ。

彼らもアゴノ様の下僕げぼくなんだ。

「ねえ、ジャージーペガサス。基地まで乗せていってよ!」

「まあ、基地へ行くのならいいが・・・。ゴブリノはいいのか?」

「いいよ、自分でもどれるし。おれは大丈夫だよ。」

「じゃあ、二人ともおれの背中に乗ってくれ。」

「やったー、これで楽ちんだーー!!」

「調子いいんだから・・・、じゃあおねがいします。」

こうしてぼくたち二人は、ジャージーペガサスの背中に乗って基地へと向かっていった。

基地の入り口まで行くとぼくたち二人は、ジャージーペガサスの背中から下りて基地の中へと入っていった。

基地とは言っているけど、見た目は古く大きな屋敷やしき。中を改築かいちくしてアゴノ様とぼくたちが住んでいるんだ。

「ただいまー、帰って来たよ。」

「ただいまー。」

「あら~、おかえり。アゴノ様ならおくの部屋にいるわよ。」

アマジャーさんが言った、アマジャーさんはジャガーの獣人じゅうじんでオネエみたいな下僕げぼくなんだ。

「あんたたち、なんか楽しいことあったみたいな顔しているけど、なんかあった?」

「うん、イーサンのマジックがすごくおもしろくてさ~!!」

「へえー、あの新しいパワー・ストームの継承者けいしょうしゃがね・・。」

「うん、それからそれから・・・。」

「ちょっとボー、それはアゴノ様に言う事でしょ?」

「まあ、そうしたほうがいいわ。後々、わたしも知ることになるし。」

アマジャーさんは大きなあくびをして横になっちゃった。

おくの部屋へ向かっていると、グリムディーンに声をかけられた。

「よお、例の継承者けいしょうってやつどうだったか?どんなワルだった?」

グリムディーンは悪魔あくま下僕げぼく、性格がとても悪くてぼくたち二人は苦手なんだよ。

好きなものは戦いと人のみにくい心、それを見てはテンションが上がっているから、気持ち悪くなるよ。

「ワルじゃないよ、とてもいい子だよ。」

「そうよ、人を楽しませることが好きないい子よ。」

「ふーん、じゃあおれがだまして、そいつをバカなピエロにしてやるよ。」

グリムディーンはギャハハハと笑い出した。

「まあ!!あんたという人は、本当に最低ね!!」

ヒカリが怒りながらやってきた。

ヒカリは天使てんし下僕げぼく、ふだんはやさしいけどグリムディーンのことがだれよりもきらいなんだ。

「ふん!お前にはだれかをだます気持ちよさというのが、わからないんだよ。」

「だれかをだまして、気持ちよくなれるわけないでしょ!」

「全く、これだから天使はえらぶってクソ真面目まじめでいやになるんだ。」

「真面目にクソがつくなら、あんたはクソ以下いかよ。」

「なんだと、やる気か!!」

「あんたこそ、やる気なの!!」

あーあ、また始まった。

この二人、天使てんし悪魔あくまだからとてもなかが悪いんだよね。

「ケンカしてると、アゴノ様にお仕置しおきされるよ。」

「あっ!それはやべっ!」

「いけない、いけない。」

グリムディーンとヒカリはケンカをやめた。

ボスはケンカが嫌いで、しようものならすごいお仕置しおきをされてしまう・・・。

「さて、おれはだれかと戦ってくるか。」

「そういえば、アゴノ様があなたたちを待っているわ。すぐに行ってね。」

グリムディーンとヒカリは去っていった。

そしてぼくたちは、アゴノ様の入る部屋に来た。

「アゴノ様、ただいま戻ってきました。」

「よし、入っていいぞ。」

ぼくたち二人は部屋のドアを開けて入っていった。

部屋にいたのは頭にクワガタのアゴを生やして、機械のうでを持ち、身長はぼくたち二人よりも少し低い少年。

これがぼくたち二人のボス・アゴノ様だ!

「それで、新しくパワーストームの力を継承けいしょうした者は、どんな感じだったのか教えてくれ。」

「わかりました。」

ぼくたち二人は、イーサンについていろいろ語った。

アゴノ様は興味深きょうみぶかく話を聞いていた。

「どうやら、イーサンというのはみんなをよろこばせることが好きな、マジックの天才のようだな。こころざしも高くて、それにイタズラ心ある。本当に会いたくなってくる人物だ。」

「そうでしょ?アゴノ様も、『チーム・ブンガブンガ!』に入りたくなってきたでしょ?ぼくが紹介してあげるよ。」

「いや、私は遊撃隊ゆうげきたいのボスだから入らなくていい。」

「そうだよ、ボー。」

「ごめん、だけどイーサンがすごい人だということはわかったでしょ?」

「そうだな、だが私は心配していることがある・・・。」

アゴノ様の顔が真剣なものになった。

「心配していることって、なに?」

「イーサンはパワーマジンの力を手に入れたということだ。私もあの力を使いこなせるが、強くすればするほど暴走ぼうそうしやすくなり、理性が失われてだれも手がつけられなくなってしまう。まだ暴走していないようだが、いずれ暴走してしまうことになってもおかしくはない。」

「確かに。そうなったら、アゴノ様以外に止められる人はいないのよね。」

「だから、もしもイーサンが暴走してしまったら、ボーとガーがイーサンを止めなければならない。私もやるからその時は力を貸してあげよう。」

「ありがとう、それでぼくとガーはこれからどうすればいいの?」

「引き続き、イーサンを見ていてほしい。イーサンに何かあったときは、私に知らせてくれ。よろしくな」

ぼくとガーは「わかりました」と言った。

「ぼくたち、『チーム・ブンガブンガ!』にいられるんだね!よかったー、これでマジックを勉強できるよ。」

「あら、ボー。いつの間にマジックに興味がわいた?」

「うん、人前でイーサンがやっているのを見ていたら、あこがれれたんだ。ぼくもマジックをやって、みんなにほめられたいなあ・・・。」

「じゃあ、イーサンに頼んできびしく特訓とっくんしてもらおうかしら?」

「え〜、それはきついよ・・・。」

ぼくたち二人は歩きながら、これからのことについて話した。

イーサンは一体、何を見せてくれるんだろうか?

二人でこれから楽しみにしているよ。











サンフラワーで最後のマジックをしてから、二週間がたった。

ぼくは母の蜜柑みかんと一緒に、サンフラワーに来た。

ドアを開けると、ほとんどの席に客がすわっていた。

「あら、前来たときよりも人が多いわね。」

蜜柑は店内を見回して言った、ぼくと蜜柑は店のおくの右端みぎはしの席にすわった。

そして蜜柑はカフェ・モカを注文し、ぼくはクリームソーダを注文した。

するとベルの音が店内にひびいた、そしてオーナーの三原さんがマイクを持って言った。

「お客様、演奏の時間が間もなくはじまります。演奏者えんそうしゃはバイオリニストの、長谷川造田はせがわそうたさんです。それではよろしくお願いします」

「まあ、長谷川さんがでるなんて!」

「母さん、知ってるの?」

「ほら、テレビにも出ている人気バイオリニストよ、彼の演奏を生で聴けるなんてすごいわ!」

そして長谷川さんの演奏が始まった、プロだけにとても上手な演奏だった。

蜜柑も他のお客さんも、長谷川さんの演奏を聴いてとてもリラックスしている。

演奏は十分ほどで終わった、ぼくと蜜柑は大きなはくしゅをした。

その後もシンガーソングライターや、ギターリストなど色んな人が演奏していた。

そしてお会計の時にぼくは、三原さんに質問した。

「ねえ、色んな人が演奏していたけど、ここのステージってそんなに人気なの?」

「ああ、なんかねこのステージで演奏してみたという動画が、インターネットではやっていて、それを見て演奏したいという人がたくさん来ているんだ。しかも明後日には、テレビがここを取材することになったんだ。」

「え!?テレビだって、すごい!!」

「だからここは、ますます人気になるよ。」

そしてお会計をすませて、ぼくは三原さんと別れた。

「サンフラワー、みちがえるほどよくなったね。これからも、楽しいお店でありますように。」

ぼくはサンフラワーの前で手を合わせて祈った。

そしてぼくと蜜柑は、スーパーマーケットへ買い物をしに行った。

野菜コーナでホウレンソウを取ったとき、城ヶ崎さんと出会った。

「あ!城ヶ崎さんだ、久しぶり!」

「イーサン・・・、あんたも買い物に来ていたのか。」

「うん、サンフラワーからここへ来たんだ。城ヶ崎さんも買い物なの?」

「ああ、買い出しの用事をまかされてな。そういえば、あれからサンフラワーはどんな様子だ?」

「もう絶好調だよ!お客さんはたくさん来ていたし、演奏もすごかったし。城ヶ崎さんも来てみた方がいいよ。」

「 そうか、またの機会にいってみるとしよう。」

すると蜜柑の「早く来て〜」という声が 聞こえた。

「あ、そろそろ行くね。それじゃあね!」

「ああ、またな。」

ぼくは城ヶ崎さんとわかれて、蜜柑のところへと向かった。

その後、ぼくと蜜柑はレジで会計をすませてスーパーマーケットを後にした。

「今日さ、城ヶ崎さんに会ったよ。」

ぼくはさっきあったことを蜜柑に話した。

「え!?あの、城ヶ崎さんに?」

「うん、買い物しにきたって。」

「そうなの、この辺りに住んでいるのかしら?」

ぼくと蜜柑は、そのまま家まで楽しく会話しながら歩いていった。











その翌日、ぼくは教室でニヤニヤしながら先生が来るのを待っていた。

「早く来ないかな・・・。」

今日もおもしろいイタズラをしかけてあるんだ、倉持先生くらもちせんせい来ないかな~?

「さあ、朝礼を始めるぞ!」

倉持先生が大きい声で教室へ入ってきた。

「さては、何かしかけているな?イーサン」

倉持先生がぼくの顔を見て言った、ぼくはギクッと体が固まった。

『あれ、もしかしてバレた・・・?』

「なんてな、今日はイーサンにとっていい日だからイタズラはしないないだろう。」

ぼくにとっていい日って何だろう?

でも、イタズラのことには気づいていなくてホッとした。

そして倉持先生が机から出席簿しゅっせきぼを出して開いたとき、出席簿からヘビが飛び出した。

「うわあーーー!!」

倉持先生はおどろいてしりもちをついた。

実はこれはぼくが作ったニセ出席簿、倉持先生が来る前に机の中にある本物とすり替えたんだんだ。

クラスのみんなはもちろん大笑い、倉持先生は立ち上がるとぼくに言った。

「イーサン、君は毎日イタズラするんだね・・・、それはそうと本物の出席簿はどこだい?」

「はい、出席簿はここにあります。」

ぼくは自分の机から本物の出席簿を持ってきて、倉持先生に渡した。

「まったく、出席簿を勝手に持ち出しちゃダメだぞ!!」

ぼくはおこられた、けどみんなは大笑いできたからそれでいいや。

「えー、今日はそんなイーサンにうれしいお知らせがあります。」

え!?うれしいお知らせって何!?とても気になるよ!!

「サンフラワーという喫茶店から、イーサンあてに手紙をもらいました。」

え!?三原さんが手紙を出してくれたんだ!!

「この手紙を書いた三原厚良みはらあつよしさんは、イーサンたちのおかげて喫茶店にお客さんがたくさんくるようになったそうです。」

「イーサン、すげえ!!」

「ぼくたちじゃとてもできないよ。」

「さすがぼくらのマジシャンだ!!

みんながぼくに大きなはくしゅをしてくれた。

そして倉持先生が、手紙を読み上げた。

『天星イーサンへ。この度は「サンフラワー」にとても貢献こうけんしてくれて、ありがとう。あなたがマジックショーをしたおかげで、「サンフラワー」は大繫盛だいはんじょうしました。一時は閉店へいてんの危機になりましたが、イーサンたちのアイデアのおかげて立て直すことができました。またイーサンが「サンフラワー」でマジックショーをしてくれたらいいな、その時はイーサンの好きなクリームソーダをタダにしようと思います。それではこれからもマジックでみんなを楽しませてください、これで失礼します。

                                 三原厚良』

手紙が読み終えられると再び大きなはくしゅがおきた。

サンフラワーを助けたことで、ここまでいいことがあるとは思わなかった。

だからこれからぼくは、マジックとイタズラで多くの人を助けたい・・・。

ぼくがそう思っていると、ぼくの机の中のトランプが青く光り出した。

『これからも見させてもらうぞ、イーサンのイタズラを。』

パワー・ストームの声が聞こえた、ぼくはうんとうなずいた。

さあ、次は何をしようかな・・・。


























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嵐のマジックショー「ドラゴンと喫茶店」 読天文之 @AMAGATA

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