適当に昇天して黙祷

あの娘との文通が途絶えてしまったのは

僕が学校に行かなくなって

二カ月もした頃だろうか

僕の文章も崩れ始めてたからね

話題もなかったし 仕方ない

世の中と相性が悪いのか

それとも僕が不器用なだけか

なかなか思うようにはいかない

子供が転んでしまったのは

先輩と立ち寄ったクレープ屋の前で

僕が今のちょっと面白かったですねと言ったら

先輩は冗談まぎれに

全然同意出来ないんですけどって笑った

要するに

世界ってのは残酷でワルで

その規模が少し小さい憎めない奴だ

極悪人ってわけじゃない

適当に気ままに時折人にイタズラを仕掛けたり

困りごとに巻き込んだりして笑ってる

それだけの奴だ

僕はそろそろ同窓会に呼ばれてもいい時期だけど

ウサギの群れはやけにクリスチャン

招待状なんて一度も届きやしない

僕があの娘に合わせていたのは焦点で

夢で出会ったあの娘の寝顔が

途切れがちでも僕は昇天

目覚める頃には

彼女からのLINEが気になって

慌てて飛び起きる

気分はまるで

いかがわしさも敬虔さも一緒くたになった牧師さん

今日も十字をハンパに切って願うのは

終点間際でも感じられる昇天

さあさ今にも黙祷

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