戦後の気分は憂うつ
9月2日にはもう学校に行かなくなって
世の中すべてを見下している
団地の最上階には野球部の声がひびき
14型テレビだけが開かれた窓だった君は
ポップジャムに救いを感じたり 煙たがったり
息つく間もなく冷えていくのは
彼女と決して交わせなかった
口づけの温度
1994年のカップヌードルは
手をつけられないまま放置されていて
退屈しのぎに描き始めたイラストも
未完成のまま壁に飾られている
世間と戦いを終えた気分は憂うつで
君の記憶の真ん中を抉り取る
時に今もって
悪気なく人を傷つけても
意固地になって
人を突き放したりしても
君の横顔からこぼれ落ちるのは
終わりのないメランコリー
君は土くれに手を突っ込んでも
きっと湧き水にはたどり着けない
半分まで差しかかった命は
後悔ばかりで 悪態の一つもつきたくなる
今でも夢に見るのは
あの日 駅で別れた彼女の肢体で
君は最高に未練がましく
尾を引いて過去を引きずるような
ダサい奴
だけどそんな奴でもかまわない
少なくとも僕は
君が裸になれる場所を作ったつもり
カップヌードルでさえ
作りかけては捨てるような日々で
スケッチの名残も消えていくばかりなのに
未だに栄誉にあずかる日を
待ち焦がれている
人が嘲笑っても
後ろ指をさしても
あいつは地に落ちたなんて
悪口を叩かれても
君はしぶとく生きている
だけど
そんなダサい奴でもいいでしょう?
僕は最高のロックを聴きながら
今となっては腐臭を放っているかもしれない
最高のロックを聴きながら
僕はそう思ったんだ
クーラーもつけない暑い夏の昼下がり
あの時と同じ9月2日に
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