それは恋愛の形をしている

東京でもソウルでもない

どうしようもない僻地に君の居場所はあって

クーラーの刺すような冷気だけが

君のとりあえずのリアルで

溶けかかったバニラアイスにスプーンを入れても

喉の渇きを満たすことは到底出来なくて

かけっぱなしのadoが歌う孤独と

君が感じてる孤独は

まったくの別物だと気付いて

想い耽ることなんて恥ずかしくてやめてしまう

機関銃を乱射して略奪するのは口づけで

初恋紛いの甘さは沈没していく

どうしようもない人でなしになって

10代の想い出を強奪しようとするけれど

そう大胆に確信犯的な盗人にも君はなれなくて

もどかしくて弾き飛ばした

テレビのリモコンの先に映るのは

退屈なワイドショーだ


ボクハナニモシリマセン ヨノナカニハワカラナイコトガオオスギテ ボクハキュウキュウトシテシマイマス ドナタカタスケテクレマセンカ SOSSOS リュウセイニデモノッテ ボクノサビシサヲコナゴナニケチラシテクレマセンカ


君はたどたどしい日本語でSOSを出して

まだ見えない誰かに手を差し伸ばすけれど

君が知っているのは現人神なんて

この世にはいないっていうこと


東京もソウルも大して価値のなくなった時代に

君は生きているというのに

やっぱり君がそれより意味のない場所に

心の置き場を探しているのは確かで

僕は君を同情でもいいから 憐憫でもいいから

救い出したいと思っている

ただ

そこにあるのは恋愛の形をした偽善だ

恋愛というとんでもない化けの皮をかぶった欺瞞だ

僕はそれを知っているから

今日もwebサイトを作るだけだ

今日も漫然と

暇つぶしのwebサイトを

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る