第3話「再廻」

——俺はあの時、確実にこの命を女の子のために捨て去ったはずだった。

 あの痛みも、意識が果てしない大地の底に吸い込まれていくような感覚も、まだ詳細に思い出すことができる。


 「死」を、受け入れたはずだった。


 それなのに、今もこうして考えることができ、空気を吸い、景色を見渡すことができている。風に攫われた髪の毛が顔をくすぐり、足元では適度に萌ゆる雑草は微かに聞こえるほどの音を立てて揺れている。


 「生きて」いなければ感じることのできない感覚の一つ一つを肌で味わいながら、大きく深呼吸をした。


 「......生きてる」


 「目の前の風景、色、匂い、全部。全部......感じられる」


 「......全ッッ部......!」


 言葉を発するたびに抑えきれなくなっていく涙を、力強く袖で拭っていく。そして目元で行き場を失っている涙をサッと親指で拭きさると、一旦キリをつけるようにこの世界の空気をもう一度吸い込んだ。

 心臓の鼓動が徐々に平静を取り戻し始め、肺の中にようやく酸素が染み込んでいく感覚が感じられる。前の世界では、当たり前すぎてその感覚すら思い出せなかったのだろうか。


 「......まさか異世界、本当にあるなんてな」


 そう感心したように呟いた瞬間、脳裏にはここに降り立つ直前——つまり淀んだ「死」の記憶が雪崩のように蘇ってきた。


 「? なんだ——」


 「!?...... うっ......かはッッ...... ゔぅ......!!」


 胃液が突然逆流し、その事態に呼応するかのように全世界の不快感を凝縮したような悪寒が襲う。あの無限に落ちていくような浮遊感と「無」になるという絶望感。そして何より、身体中がミチミチと肉が裂けるような音をたてて崩れていく、想像を絶する苦痛。

 いくらこうして生まれ変われたのだとしても、本来経験したことすら無に還ってしまうあの「地獄」は常に頭の中に住み続けるのだ。


 「......クソ、これ、またいつか思い出すとかないよな......?」


 途切れ途切れになんとか繋げた言葉は嗚咽と混じり合い、その「一生に一度の体験」が脳裏に焼き付いた一人の人間の苦痛を滲み出していた。


 ——それから数十分が経過しただろうか。時間をかけて何とか息のリズムを整え、ゆっくりと広大な草原に腰を下ろす。ようやく周囲に漂う青草の香りを感じられるほどの落ち着きを取り戻すと、草の欠片に彩られた掌がふと目についた。


 「パッと見たところ見た目変わってないし、赤ん坊に生まれ変わってるわけじゃない......ってことは『転生』とかじゃなくて『転移』......?」


 手足や体付きだけ見ても、年齢や身体的特徴はほとんど変わっていないように見える。どちらにせよ、起きるはずのない幸運の道中にいることに変わりはない。

 突然降って沸いた「第二の人生」。前の世界ではラノベのようなフィクション作品でしか味わうことがないと思っていた、異世界。

 ここが地球であるのか否か、はたまた別の世界や星にきてしまっているのかもまだ明確に知ることはできない。ただ、今まで過ごしてきた日本という国でないことは、遥か遠くに圧倒的な存在感を示してくる天空都市を見れば理解に苦しまない。


 「こうやって異世界に来れたってことは、もしかして......」


 そう、異世界に転生、もしくは転移してきたラノベ主人公は何かしらチート能力を持っていることが多い。もしくは、ステータスのどれかがカンストばりに突き抜けているか、異常なほど異性にモテるハーレム属性を持ち合わせるか、そのどれかに当てはまるのが定石だろう。


 「まさか......な」


 そう言いながらも、もしかしたら異世界に来てしまった自分にも何かチート級の能力が身についているかもしれないという期待が体の中心から溢れてやまなくなっている。

 子どもの頃はごっこ遊びでよく掌から「ファイヤー」を出したり、本気を出したら一瞬で世界を滅ぼせる......なんて妄想もしていた。それが冗談抜きで現実になっているかもしれないというロマンは計り知れない。


 「......よし」


 そう息を飲むと、掌を広げながら真っ直ぐ天空都市を覆い隠すように翳した。


 無限に魔術を放つことのできる魔力か。それとも時空間に干渉して世界の時を自在に操る?はたまた、己の体一つでどんな敵も穿つ超パワー?

 ——どんなチート級能力であろうと普通の能力であろうと、凡庸で代用のきくような俺にとっては夢にも思わない贈り物だ。


 ......でもどうせなら、めちゃくちゃ強い能力が欲しいよな。デコピンで世界滅ぼせるくらいの。


 「こういう時って、どうしたら能力って出るんだ?」


 「アニメの登場キャラとかなら大体、技名を叫んだり、詠唱したりするけど......この世界じゃ何も知らないしな」


 「まぁ、とりあえず適当に......」


 「バーニゲスト・フレイム......!!!」


 かなり前に気の迷いからプレイした、超有名学園恋愛ゲーム「イケメン天国ユートピア」。その登場人物がストーリー中で唱えていた必殺技名を思い出して、つい口に出してしまった。

 ......意外と、言葉の口当たりは悪くない。名前の響きにのぼせるような火照りを覚えながら、腕の先を恐る恐る見つめた。

 しかし、一向に何かしらの反応が起きるわけでもなく、まして掌から炎が出てくるわけでもなかった。


 ——流石に最初からチートで無双、なんて都合がいい設定じゃないのか?それとも、ステータスのレベルがまだ1だからとかか......?


 このよくわからない世界に降り立ってしまったこと、その事実だけはなんとか頭に入りかけている。「事実は小説よりも奇なり」なんて言葉をどこかで聞いたことがあるが、実際にその渦中に立たされると何をしたらいいかも全く浮かんでこないが。

 ひとまず自身にとんでもない能力が備わっていなかったという残酷な現実に肩を落とすと、諦めたように天然芝生のベッドで仰向けとなった。

 ——空は青く、雲の動きもほとんど地球と変わりはない。なのに、ここで起こる「かつて至極当然に起こっていた現象」も、この世界では絶対的に何かが違うと己の五感を揺るがしてくる。


 そもそも「異世界」ってことは、言語とは価値観とかまるで違うはずだし、そもそも言語自体あるのかすらもわからない。突然連れてこられたこの新鮮な世界では、きっとこの世界に生まれ落ちた赤子かそれ以上に、無知で無力だろう。


 「チートみたいな能力もないし、魔法が使えるわけでもない。なんでわざわざ俺が選ばれてこんな——」


 そう不貞腐れながら体を起き上がらせようとした。すると左腕に押しつぶされ茎が折れてしまいそうな花が、今にも助けを求めるようにこちらを覗き込んでいる。


 「......あぁ、ごめん。今避けるから——」


 焦るように立ち上がり、くの字に折れかけている茎の曲り目を丁寧に接合し直そうとした、その時だった。


 ズグンッッ!!!!!


 「!!......ウッ......!?」



 先程「死」を思い出した際のあの不快極まりない苦痛とは違った、脳が左右で裂けはじめてしまうような鋭い痛みが、こめかみを発信源として響き渡る。視界が陽炎のように揺らぎ、平衡感覚が極端に失われていく感覚が全身を包み込んでいく。

 自分がどの座標上に存在するのかすら認識できなくなる中で、ふと視界に青々と茂った広葉樹がかろうじて目に入る。しかしその風で踊る葉や木の枝には、世界の法則から逸脱した「異常」が宿っていた。


 「かはっ......一体、何が......!?」


 自分の動きはこれまでと変わらず動き続けているのに、自分以外の全てにとてつもない重力負荷がかかっているようなスローモーションになっている。それはまるで自分以外の世界が置き去りになってしまっているような——

 舞っていたはずの青葉は地面に落ちるまでの猶予を謳歌しており、木の枝に至っては動いていることすら信じられないほどだ。


 ——世界が、秒針を突然失ったように静止しているとさえ感じた。


 その現象への孤絶反応なのか、眼球が内側から膨れ上がり、頭蓋が血管の躍動によってミシミシと圧迫されてしまうような痛みで、思考が濃霧の中に消え去りかけていた。

 「死」による古傷が可愛く思えるほどの生き地獄が、生き物としての法則を外れた命を裁こうとしている。静止する世界の中で、かろうじてそのイメージだけを感じることができた。


 「......また、会える」


 突然、死に際のあの空間で耳にした不思議な声がイメージの中に潜り込んできた。初めて耳にしたはずなのに、幾度となく聞いてきたような懐かしさを想起する、あの声。その声が響き渡ると、体の中をかきまわし続けていた苦痛が忽ち消えていく。頭部を悉く破壊してしまうような痛みは、声の主に怯えて逃げていったかのように無くなっていた。

 これまでが嘘のように頭にかかる霧が晴れていくと、その声に向かってシンプルな、たった一つの疑問を投げかけた。


 「......あんた、何度も俺に話しかけてきてたな。結局誰なんだ?」


 「............」


 その問いかけに一切の返答はなかった。完璧なまでの無視。確かに、単なる記憶の中にある声に語りかけても返答は望めないのは分かってはいたが。


 ——そうだとしても、一方的に話しかけてきたのだから、一言ぐらい返してくれてもいいだろう。


 「まぁ、答えるわけない......か。まぁ......ひとまず助かったよ」


 姿も何も分からない何処かの誰かに、あの地獄から救ってくれた礼を述べる。もちろん返事が返ってくることはなかった。

 周りを改めて見渡すと、止まっていた世界が徐々に息を吹き返していく光景が見えていた。空中で止まっていた青葉はとうとう地面への着地を初めており、「いつも通りの世界」へ再生しようとしている。


 耐え難い頭痛とともに突然起こった世界の静止。その奇妙な現象を即座に抑え込んだ不思議な声。もしかするとこの世界では当然のようにこのような、もしくはこれ以上の現象が起きているのだろうか。


 ......とりあえず、混乱すること自体諦めてしまうようなことが立て続けに起こっているのだけは理解できる。


 「もしかして、俺に備わったチカラって......これなのか?」


 「......イヤ、でも発動するたびに毎回こうなるんなら随分なハズレ能力だよな......代償がデカすぎる」


 「それにしても何がトリガーになって——」


 その疑問の続きを紡ぎかけたところで今考えても仕方がないことだと諦め、改めてこの世界の地平線を真っ直ぐ見つめ直す。


 「......はぁ」


 体に残る力みを取り払うように、深く溜息を零す。これまでの人生で経験してこなかった様々な「非日常」が一気に押し寄せてきた代償は、間違いなく精神を蝕んでいた。それでも、人生最後に訪れた奇跡を無碍にすることだけはしたくない。たとえどんなに残酷な理由で、こうして生きてしまっているのだとしても、あるはずがなかった来世を蔑ろにはできない。

 服に張り付いた土や草を軽く払い落とすと、多少フラつきながらも一歩、また一歩と足を進めた。


 「俺は、この世界のことを知らなすぎる」


 「まずはどこか人が集まる集落でもあれば......」


 そう呟き、未だ果てが見えない地平線の先に向かって足を進めてゆく。溢れんばかりの謎を巻き込んだその足は、未だ迷いと異世界への期待を同時に孕んでいるようだった。




—————————————————————————————————————



 一面鮮やかな緑色の地平線をひたすら開拓していくと、10メートルはあるだろう大木が幾千にもわたって聳え立っていた。そのあり様は訪問者を鋭く威圧する壁のようで、この世界における「異端者」を跳ね返さんとしていた。


 「......デカすぎる。しかも、この森の終わりがどこまでかも見えないなんて」


 「やめとくか......イヤ、森の中に何かあるかもしれない」


 怖気付いている心を震わせ、この世界を知るために一歩森に踏み入れる。するとそこは、先程までの穏やかな草原とは一線を画す、異様なまでの威厳に満ち溢れていた。

 きっと手を回しても到底届かないような幹は、何千年もここに居座っていたことを感じさせるように力強く根付いており、遥か上では深緑がザワザワと騒ぎ出している。


 「昼のはずなのに、全く空が見渡せない......おかげで方向感覚も時間感覚もイカれそうだ」


 まさに先の見えない未知の領域に悪態をつきつつ、一切手入れされていない雑草の中をかき分けていく。長く伸び切った葉の先が頬を掠め、むず痒さを覚えながら先に進んでいくと、ようやく草の発育が落ち着いた場所に出てくることができた。


 「ここだけ開けてるんだな......獣道ってやつにしては随分ご丁寧だけど」


 まるで誰かに整備されたように広がるその空間には遥か上から木漏れ日が差し込んでおり、神聖な雰囲気すら感じさせる。


 「もしかするともう近くに誰か住んでるのかもしれない......ただ」


 ただ、それが「人」ではない可能性も、友好的でない可能性もあるのだが。


 一抹の不安とこの世界に生きる誰かに会えるかもしれないという好奇心を握り締め、開けた空間の先へと進むことにした。

 一歩踏み入れた先には、四方から体を引きちぎられるような緊張感が充満している。警戒か、もしくは殺気のようにも感じられるその空気は、この世界における「余所者」を排除する森の自浄作用のように思えた。


 バサッッッ!!!


 「......うっわ!!」


 突然上空で何かが飛び立つような音が降り注いでくる。自分自身の感覚が過敏になっているのか、風で葉が靡く音、足で小枝を踏み潰す音の一つ一つが鮮明に色づいているようだった。


 「くそ......早く出なきゃこんなとこ......」


 心なしか息が荒くなってくるのが聴き取れる。ここにいると、漠然と「何かが起こる」と訴えられているようで落ち着かない。洋画ホラーの導入で怪しげな森の中にある館に入ろうとする主人公の気分が、今になるとなんとなく共感できるような気がする。


 一歩、また一歩と未知の中に入り込んでいく。躊躇が見え隠れする足が天然の芝生をかき分けると、足元に転がっていた小石がコツンと音を立てて草の中を駆け抜けていく。


 ——その僅かな雑音が、「彼ら」に掛けられた南京錠を外すことになった。


 ザザザザザッ!!!


 「へ......!?な、なんだ一体......!?」


 あまりの突然の出来事に、思考がまるで働いてくれない。音を先に認識したせいで気付くのが遅れたが、どうやら何者かが自分に警戒心を抱いていることに間違いないらしい。

 しかしその「何者か」が一人でないことは、その騒々しい音色から容易に想像できた。


 ——なぜこんなところに人が?


 どうする?服装も全くここらで見たことがない......「余所者」だ。


 あぁ、「余所者」だ。村に入られる前に、ここで殺してしまうか?


 ——いや、しても半殺しだ。もし本当に「余所者」なら、一度「主人あるじ」に謁見させてから判断する。


 小汚い布製の服を身に纏う5、6人の男たちが、こぞって自分を品定めしているらしい。どうしてかこの世界でも、彼らが話す言葉はしっかりと「言葉」として耳に入ってくる。


 「言語は日本語......なのか?それとも、俺の方が......何か変わったのか」


 「......イヤ、そんなことは後回しでいいんだ」


 「『余所者』?『主人』?何言ってんだあいつら......今、『殺す』って言ったのか......」


 ——この近くをテリトリーにするなんらかの部族だろうか。そして「主人」ってことは、階級がある部族か。どちらにしても、完全に部外者の俺を歓迎する気は毛頭ないらしい。しかしその服装や立ち振る舞いを見る限り、部族というよりも閉鎖的な村民といったところか。


 「あ......あの、俺この森で迷子に——」


 そう取り繕おうとした瞬間、彼らの視線が殺意に満たされるようにこちらを凝視した。少しでも怪しい動きをすれば即刻始末するとでも言わんばかりだ。

 そしてお互い硬直が続いたところで、ようやくリーダー格の男がこちらと一定の距離を保ったまま言葉を投げかけてきた。


 「......許可なく言葉を発するな、『余所者』風情が」


 「貴様は我らが『主人』に謁見させたのち、然るべき処置をとる。貴様に一切の選択権などない」


 「ちょ、ちょっと!俺はただここがどこか知りたくてこの森に来ただけで!」


 「白々しい。何が目的だ『余所者』。まさかまた我らの平穏を脅かすつもりなのか?」


 「......また?何言ってるか全ッ然わからな——」


 心から漏れ出す怒気を言葉に込めて放とうとしたその時、顔面に鋭い衝撃が走った。目の前はその衝撃でグニャグニャに歪み、頬骨全体に響き渡る鈍痛が襲いかかる。

 かろうじて眼前に起きた出来事を見ると、拳を握った村民の一人が腕を大きく振るっていた。殴られた、と気付くまでに僅かな時間を要したものの、「許可なく言葉を発」したことによる罰であることを理解した。


 「......よし、連れていけ」


 そうリーダー格の男が指示を出すと、周りで囲んでいた男たちが自分を抑え込んで連行しようとこちらに向かってくる。その体はお世辞にも筋肉質とはいえないものであったが、大人二人の力に反抗できるはずもなかった。


 「くッ......そ......どうしてこんな......むぐっ!?」


 ジタバタと足掻く「余所者」に対し、一方の男は腕をがっちり固定して逃げられないようにし、片方は首の中央部を強く掴み呼吸を妨げてくる。どうにかまだ動く足で彼らの体を踵で殴りつけようとしても、酸素が頭に回っていかないせいか手足に力は入らない。


 「やかましいぞ、『余所者』。 ......大人しくこちらに来い」


 どう足掻いたところで、彼らは村に俺を招き、その生死を彼らのルールで決めてしまうらしい。人間なら「情け」を持っているという期待も、この未知の世界では全くもって無意味であった。


 ズル......ズル......と擦れるように響き渡る鈍い音は、その無力性をより醸し出していた。


 彼らに引きずられながら意識がとうとう限界に達しようところで、彼らの村と思しき集落が森から覗きはじめている。もう彼らのテリトリーに連れてこられてしまったらしい。

 頬に残る鈍痛のせいか口の中で唾液と血液が混じり合ってきており、抵抗する力もすでに尽きかけている。


 ——くそ、どこまで連れていかれるんだ......?


 もう、視界がぼやけて目の前の景色がはっきりと映らない。しかし、その中でも村人が騒ぎ立てる声が徐々に接近してくることにだけは気付くことができていた。


 そいつは......?まさか、「余所者」か!?


 ——あぁ。ここらを一人で彷徨っていた。我らが「主人」に謁見させ、全て吐かせてから処分する。


 それがいい。では謁見まで、村外れにある地下牢にでもぶち込んでおこう。


 何人かはもはや分からないが、複数の乾いた土を蹴る音がこちらに近づいてくる。この圧倒的無力感と煮え切らない怒りのような感情が、足音が接近するごとに内側から湧き上がらせる。しかし、その怒りが現状を打破するのに役立つことはなかった。


 「ゲホッ......ちょ、ちょっと......ま、待っ......」


 「こうなったのも、貴様が我らの平穏を脅かそうとしたからだ。地下牢でその罪を存分に悔いるといい」


 「つ、罪......!?俺が一体何を——」


 その言葉を遮るように腹部を抉り取るような痛みが襲いかかり、かろうじて消さずにいられた意識の灯火は最も簡単に吹き飛ばされていった。

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シの英雄 秋夜【あきよる】 @akiyoru041

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