明かりはいかが

 川守たちは朝食を終えて、それぞれの仕事にとりかかる。


 バルカロールは川上の森へ消えていき、サルヴァドールは市場へ向かう。そしてレミーは川下の岩場に出かけた。


「光るキノコに、光る苔、なんなら月の光も道連れに。あなたの明かりはどんなもの」


 小川のせせらぎに合わせて歌いながら戻ってきた彼は、光るホオズキを持っていた。よく見ると、ホオズキの中にホタルを閉じ込め、提灯のようにしてある。


「大丈夫、明かりがいらなくなったら、ヨナじいさんが放してくれるからね」


 いそいそと水車小屋に戻ると、ちょうどバルカロールが小舟を岸につないでいるところだった。


「揺れる小舟に、響く声、なんならこの舟歌も道連れに。あなたの旅立ちどんなもの」


 そう歌う彼は自慢の歯で木を切り倒し、舟を作ってきたのだった。それはとてもとても小さかったが、ヨナじいさんが乗るには十分だった。


「やあ、バルカロール、今回もいい舟だね」


「やあ、レミー。今回の明かりも実にいいね」


 小舟の先に光るホオズキをくくりつけ、レミーとバルカロールは満足げに水車小屋の中に入っていった。

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