ベイビーわるきゅーれ ー2021.10.20.
監督:阪元裕吾
「人も殺すし、食も進む。」
いわずもがな、カワイイティーンの殺し屋二人が
血まみれ、薬莢まみれのハードアクションを、
骨と骨ののぶつかる音が響くような血みどろの肉弾戦を繰り広げる本作。
そういう時、作中であまり食は進まないものだ。
そもそも緊張感が途切れるようなお食事シーンこそ抑えめで
美味しそうに撮ったり、食べたりしやしない。
けれど本作、食べ物がよく出てくるのである。
おでん、焼き肉、オムライス、クリームソーダ、ナポリタン、パン、ショートケーキ。
しかもこれが実に美味しそうな具合に見えるのだから、どういうことだ。
いや、あえて手を抜かず美味しそうに撮っているとさえ思うのだからスゴイ。
さっきまでの凄惨さは何だったんだ、というくらいに、
このほっこり感との緩急の差が、とにかく激しい。
そしてこの差こそが見どころである、
不思議ちゃん系バイオレンスアクションが本作だった。
しかもこの緩に急がどちらもウソっぽくないからまいった。
もう途中から、作品中の登場人物ではなく、日々、鍛錬、撮影されている演者の方の日常を見ているような気さえしてくるナチュラルさ。
いや、本当に強いからこそああもリラックスできるのかも、と過ればもう、
始終しかめっ面で神経尖らせているコワモテが、ビビり過ぎで弱っちく見えてくる。
困ったもんだ。
ということで尺短めの本作。
この後、主人公らがどうなったのか、どうなるのか、
日常をもっと追いたい気分になった。
総じて活躍をもっと観たい。続編希望なのである。
ハリウッドのスタントウーマンのドキュメンタリー映画を見ている。
作中、映画黎明期において、そもそも男は働きに出ていたため、
まだ興行の基盤が出来上がっていなかった映画は女のものだった。
という説明があり、スタントをする女性が実に多かったことを知った。
本作も主人公は若手の女性スタントマン二人である。
本来なら本人らの顔が積極的に出る事は少ないのでは、と察するが、
そんな二人にスポットを当てた本作は、華やかな部分を支える土台の確かさを観られたような気がして、とても良かった。
かつ、CGもカットでのごまかしもない一連のアクションは、
ちょっと早すぎ、技が細かすぎで追い切れないところもあるが、
モノカキの戦闘描写の稀に見る資料だと思えてならない。
しかも男女、体格差をしっかり織り込んで、なので
女がキック一発で男を倒すようなファンタジーもなく、
執筆のさい想像を広げる時の判断基準となりそうで、とてもよかった。
悪くいうつもりはないが、そういう意味でアニメを参考にした戦闘描写は、
恰好はいいかもしれないが実写CG参照よりも控えめがいいかもと、
やはり感じて止まない。
書くジャンルや読者層の当て込みもあると思うが、
あまりに雑だと思えるのである。
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