サバイバルファミリー ー17.2.14.
監督:江口史靖
「人は電気に寄生してる?」
ある日起きた大停電。生きて行けなくなった家族は、安心の土地を求めて移動を始めるが。果たしてたどり着けるのか、という物語。
パラサイトなんちゃら、って言葉が流行ったこともあったけれど、
まさに電気無くして微塵も動かない社会で生きている人間って、
電気にパラサイトしているんじゃなかろうか。
無くして半死半生で辿り着いたそこは、なくても生きてゆける土地だったなんて、
昔はよかったどころの騒ぎじゃない。
同時に印象的だったのは、電気があると人手はいらないけれど、
電気がなくなると1人暮らしはこたえる、という養豚農家のくだり。
これからの人口減を想えばやっぱり、電気にパラサイトだ。
笑えるところもなければ見ていられない本作に、
せめて寄生ではなく共生くらいまで盛り返したいな、と思わずにはおれなかった。
シュールでシリアスな本作に一本取られて、劇場を後にする。
笑い要素で構成されたドタバタ劇だが、主題は結構シリアスである。
SDGsが叫ばれる今みなおすと、なおさら色々思い巡ることも増えるのではなかろうか。
こうした主題はマジメにやろうと思えば幾らでも出来、NHKの教育番組がごとく、過去例はいくらもある。それを面白おかしく提供した本作に、切り口の独自性を感じる。
同時にこうした視点を持てるか、は作家として大きいなと思った。
以前にも書いたがわたくしは、シリアスよりもコメディーの方が数倍、難しいと感じている派である。そうした面で本作は成功しているな、と思えたし、だからといってナンセンスな笑いに逃げることなくしっかり、シリアスに落とし込むところは落とし込んでいるバランスの良さにグッジョブ、を感じた。
ヘビーなことを「ライト」で伝える。
決して侮ってはいけない。
実践した者なら分かるはずである。
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