ゴースト・イン・ザ・シェル ー17.4.11.
監督:ルパート・サンダース
「リスペクトの塊とみた」
士郎正宗原作、攻殻機動隊のハリウッド実写版である。
ゆえに半信半疑で挑んだところ、再現率の高さに驚かされる。
原作、プロダクションIGのアニメ、押井映画版と、
どれもわずかにテイストが異なるところを「攻殻起動隊」の串で一本貫きまとめ、
リミックス版とでもいえるほど印象深いアイテム、シーンの良いトコ取りで絶妙と仕上げた作品。
ここまでカユイ所に手が届くとなると、作り手がいかに「攻殻」をリスペクトしているか思い知らされる。
バトーではなかったけれど、かろうじて「モトコー!」と叫ぶところも入っているしね。
もし続編があるなら完全オリジナルシナリオでどうなるのか、実に見てみたい。
その時はフチコマも出ていると、なおうれしいな。
とにかく押井版のインパクトが強すぎた。
あれは東映会館で「ラストアクションヒーロー」を見た帰りだ。柱に貼られていたポスターにナンダコレ、と釘付けになり、その後わけも分からずみてしまったことが攻殻との出会いとなる。
経て原作はいったいどうなっているんだ、と漫画も読み、なおハマった。
そもそも三十年以上前にあのネタをどこで仕込んできたのだろうか、士郎正宗。
おかげで手本にしたいと、ネタ探しのレンジが広がったことはいうまでもない。
そんな攻殻世界は今やスタンダードとなっているSF設定のあれやこれやに流用されている。
だからしてこれもその一種といえば一種であり、拝借どころかまんまを再現なのだからある意味斜め上を行っていた。
原作では完全義体の主人公は子供を残せない代わりにミーム(情報遺伝子)をネット世界に残す、という形で同化し終わっている。
その後の続編ではだからして、微妙に異なる幾つもの自分と出会い、干渉し合う話もあった。(妙な話だ)
ならこうも影響されて生まれ出でた作品があちこちにはびこる様は、まさに士郎正宗のミームが情報世界の一部を制したことを表しているようでならない。
そのうちでも双子のようなこの作品は、まあ、よくできていて劇場へ二度、見に行ってしまった。それほど映像にも、物語の運びにもスキがなかった。
いつかモノカキとしてもそんな具合に我がのミームを残せたら、とは思うけれども、
思うだけに終わりそうなのだよな、実際は、と深くうなずくのである。
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