カメラを止めるな! ー18.9.26.

監督:上田慎一郎



「走り出したら止められない!」

だから映画が好きなんだ!

そう思い起こさせる1本。

どんな傑作にもどんな駄作にさえ、携わる人々の血と汗と涙と笑いの結晶が詰まっている。

いつもは完成された作品の上澄みをなぞる観客だけれど、

たどり着くまでのあれやこれやを絡めて見ることで面白さも感慨深さも倍増すること間違いなし。

今後もそんな裏側を想像させ続けるきっかけになるやもしれに1本。


きっとどんな大作だってこんな風に泥臭いのかもしれない。

思えばがぜん映画が、作り出す人間というものが愛おしくて仕方なくなる。

スタッフに出演者のみなさん、本当にグッジョブ!!!


ちょっとだけ「ラヂオの時間」を思い出したかな。



考えるとこの構成、「古畑任三郎」パターンだと気づく。

先に結果を知らせておいて、あとからなぜそうなったのかをゆっくりつまびらいてゆくあれだ。

ただし言語による謎解きとは違い、

映像とそれがどうやって撮られたかという舞台裏は、少々テイストを変えてもいる。

映像が好きなのは、表では「こう」見えているが、「そう」見せるために

とんでもない仕掛けがあることで、

そのアイディアやスケール感にクレイジーな職人魂を、

まだ頭の中にしかない絵を執念で創り出すモノヅクリ魂を、

見ることが出来るからである。

もれなく体験できる本作は、いわゆるB級モノだが引けは取らない。

だからこそ胸アツ間違いなしなのだ。

ということで自分語りをしてしまえば、

おそらくわたしは具体的にどれという作品が好きだからではなく、この監督に作家がが好きだからというわけでもなく、そうやってモノが創られてゆくときの熱量が好きなのだと自覚している。

モノや人にしばられることなく「状態」さえ仰ぐものであればロマンを感じるし、リスペクトしまくる。

どうやって撮ったのだろう。

どういう心境で、意図があり、書いたのだろう。

何を考え、気付いたからこう踏み出したのだろう。

物語の登場人物より、その向こうにいる人々の心と体の動きに興味は尽きない。

本作の監督もその辺りをフィルムに記録したかったのではないかと思う。

しかもああもB級作品が舞台なら、

AもBも、ましてやSだろうと差はないのだ、と思わずにはおれない。

アマもプロも、ヘタもうまいも、全て最後はモノヅクリ魂、心意気、

そこで勝負だ。



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