AKIRA ー19.4.29.

監督:大友克洋



「斬新! 超絶ダイナミック!」

特別上映にて30年の時を経て2度目の鑑賞。

人間も宇宙の子。その遺伝子を発動させたなら。

テーマの発想がそもそもトンデいる。


だが最後まで空回りすることなく、みあう豪快なSF超能力バトルが、縦横無尽と駆け巡る快活なキャラクターたちと共に繰り広げられる。

10分に1人死んでそうで、5分に1回は爆発、崩壊が起きていそうな、瞬き禁止の手に汗握りまくり映画。


圧巻なのは、まだCGもない時代に手書きのセルでよくここまで、

と思うほどの作画、作画、作画。

全くもって古さを感じさせない世界観に、ふともすると一周回って真新しささえ感じてしまうアイテムの数々。

この作品に影響を受けたんじゃないか、と思える作品も頭をよぎるほどいまだ踏襲される技法、演出に、これぞ古典とおののいたり。

バックに流れる芸能山城組の音楽も、その厚みと存在感が今、聞いてもアニメ用とは思えなかった。


とにかく30年前にこのセンス。

尖りすぎて今でも観客の心はぐさっと一突されてしまう。

美しくも激しい凶器のような1本だった。



公開当初はスゴ過ぎて果たして何がスゴかったのか、勢いになぎ倒されて味わうヒマがなかった。

だがさすがにン十年ぶり。改めてじっくり味わうことができ、これをあの頃に?

と、思えば時代を三歩ほど先取りしていておののく。

もちろんあらゆるところに本作の影響は及んで、の今で、

この作品がなければ生まれてこなかったものもの多いのではなかろうか、と考える。

こういう時代の先を行きすぎる作品は、ふともすれば良さが理解されずにいたりするのものだが、

見出し、認め、それを一般へエンタメとして広めた出版社の目と腕もスゴいと思う。

実は原作を途中までしか読めていない。

もう数年してからでいいので、一度は読破しておかねばと考える。

それほどにまだ、わたくしには荷が重くもあり。

こういうモノを生み出す人の頭の中はどうなっているのか。本当に不思議だ。

いや、どういう人生を送ればこうした価値観や発想を生み出すに至るのだろう。

特別だとして、誰もがみな違う人生を送っている「特別」なのだから、

これが意味するところは誰にも可能性がある、ということなのかそれとも、

「特別」だからこそふたつと同じものののないフィジカルに分岐があるのか。

作品の凄さにとにかく、神秘さえ感じるのである。

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