バースデー・ワンダーランド ー19.5.1.

監督:原恵一



「大人向けか、子供向けか?」

地下室から異世界へ。

牧歌的で色鮮やかな夢の国は、しかしながら危機に瀕していた。


まるまる子供向けのような展開ながらも、ところどころ大人がクスリとするようなシュールな笑いがあって気が抜けない。

し、実際、思わず笑いっていたし。

全ては、ファンタジーなのに現実を生きる自立した女、ちぃ姉さんの言動のせいなのけれど、それがふわふわした作品世界へ独特のスパイスを効かせていたように感じる。

ともかく不思議な2時間だった。



正直、どんな作品にもイイところは必ずある。

なぜなら作品として「オワリ」と締めくくれているからだ。

本当にダメ尽くしならそもそも完結にこぎつけない。

そして酷評のほとんどは過剰な期待と趣味、趣向、鑑賞者の知識不足が招くミスマッチから起きているものととらえている。

なので、これまでの感想も悪くは書いてきていない。

そもそも映画ファンとして、映画イイよ、を推奨したいわけだから、

これを読んでぜひとも見たい、と思ってもらいたいくらいなので、悪く書く理由こそ思いつかない。

けれど、けれど、がここで出た。

本作はなかなか曖昧な線をいっているのだ。

その不思議ちゃん加減が独自のカラーと推奨すべきなのだろうけれど、

わたくしにはそのカラーを前向きにはとらえ辛かった。

せめて映像が革新的であればファンタジー世界にどっぷりつかれたのだけれど、そこまででもなく、物語も王道で、大人向けのような子供狙いのような、という。

恐らくキャラクターデザインのイリヤ・クブシノブさんにアテたものなのだろう、と察するが、後にネットフィリックスで「攻殻機動隊」のキャラデザをしたものの、以降、メジャーでお名前が前に上がってきたところを見ない。

これもなんだか不発だ。

こうなんというか、あらゆる点で5段階中の3という、悪くもなければよくもない、という究極のとっかかりのなさで埋め尽くされたせいで、凡庸なはずも凡庸ささえその魅力が半減してしまっているという。

どうせなら一点、突破。

あとはなんだこりゃ、くらい壊滅的な方が

もしかするとそのアンバランスがバランスとなって魅力を発するのではないか、と考えたり。

そしてこれもまたオハナシカキに当てはまらないだろうか、と思うのである。

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