ザ・ファブル ー19.6.25.
監督:江口カン
「不思議と清潔感のある安心。」
物語は伝説の殺し屋が一年間、誰も殺さずフツーの生活を送れとボスに言われるものの、ヤクザの抗争に巻き込まれて、というもの。
コメディーパートとドラマパートとアクションパートが緩急、緩急、
とっかえひっかえ小気味よく繰り出される飽きない2時間だった。
その中でもアクションパートが案外とグロい。
そうならざるを得ない状況を作り出す登場人物も、クレイジーに濃い人たちばかりだ。
けれど不思議とエグくならない。
終始、えもいわれぬ清潔感が漂っていた。
おかげで私利私欲に義理人情の矛盾がこってり裏社会も、
イヤな気持ちになり切れず、妙な安心感さえ覚えてしまうという。
(きっと役者の皆さんから醸し出される爽やか、イイヒトオーラがそうさせているのかなぁと思ったり)
流血、バイオレンスが苦手な人でもギリギリ楽しめるような気がしてならない本作は、そんなアクションのみならず随所にこだわりが感じられ、
近頃お見かけしないど派手な銃撃戦ともに、エンタメとして浸れる1作と鑑賞する。
個人的には数少ない女性陣がみなさん魅力的で萌えた。
吹き替えなしのアクションが見ものはいうまでもなく、物語パートもとてもしっかりしていていい。
日本映画のこの手はどちらかに重心が置かれて、アクションエンタメとしてはバランス悪い場合が多々だが、本作は本当によくできている。
でないと実際、主人公が大活躍してもうわ滑るわけで、活躍の意味と意義を理由に動機を、物語部分がしっかり支えている。
そして上記にもある清潔感について。
上品さ、とでも言うべきか。あまり映画でそうしたことを感じたことはなかったが、今回初めて強く意識したように思う。
この手の「雰囲気」を感じることはモノカキにもある。
上品に限らず、無理してワルぶってるな、とか。緊張してるな、とか。気持ちは弾けているけれど文章が追いついていないもどかしさ、とか。申し訳ないけれど、真面目ぶってるなやら、かしこぶってるな、やら。
果たしてそれが作品上、演出として意識されていたならOKだが、意図せず醸し出されていたならマズいよなと思わずにはおれない。
本作の場合、裏社会なのに安定の清潔感、上品さ。おかげでみんながんばれ、と平和的に応援したくなりながら観ていた。
モノカキももし、意図せぬものが伝わっていたなら、そういう具合に運べばいいな、と思ってみたり。
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