JUNK HEAD ー21.6.21.

監督:堀貴秀



「キモカワでエモい」

迷路のような地下に住まう人工生命体。

その生態が少しづつ解き明かされつつ、

調査のために侵入した主人公が幾度の危機を乗り越え、人類存続の可能性を探る物語。


おどろおどろしいようでコメディー要素が満載。

結構、笑えた。

よく見ると可愛らしいんだけれど、なんだか不気味。

どこか生々しいんだよね。

しゃべる言葉もナニ語か不明の音声だし、ちょいちょい下ネタが出てくる。

「独自の文化」感が半端ない。

一筋縄ではゆかないキャラデザと、舞台美術の圧がとにかく強烈だった。

冒頭、慣れるのか、この世界観に、と不安に思ったが、

中盤を過ぎる頃には気にならず、物語へどっぷりはまるありさまに。


随所、オマージュとも取れる造形やらモチーフを見つけたような気になるのは、気のせいか。

それもこれも真似しました、と言わんばかりには見えず、

本作の世界観にすっかりはまり込んでいたのだから、意図してではなく無意識のうちに、なのかもしれない。


そんな物語は冒険、アクションものかと思うが、

赤い頭巾の少女が登場する辺りからけっこう切なくなってくる。

終盤、あの彼らの活躍にはカッコエエ、と見ほれつつ、涙。

ものすごく気持ちをもって行かれた。

もう会えないのが寂しすぎる。


そして何より感動させられるのは、何から何まで一人で作り上げているという事実。

絵コンテを切っている地点で完成図はもう脳内に、鮮明と出来上がっていたんだろう。


始めることにしたきっかけ、動機がとにかく知りたい。

そして完成まで何年もかかったというのだから、必ずその対価を手にして欲しいし、

ちゃんとお金払います。

元手に是非とも、是非とも、続きを見たいと思う1作だった。



正直、商売でやっていたらこんなペース(製作期間7年)で撮れやしないし、ほぼ全部一人での作業などとあり得ない。

商売抜きからはじまったろう本作はおそらく、作品をこの世に出すことがまずもっての目的として撮られたのではなかろうかと感じる。

(もちろんせめて費用は回収したいぞ、の意気込みはあったと思うが、優先順位として)

また、商業ありきならもう少し「世間の理解」という味に薄められた仕上がりにならざるを得なかったろうが、ほぼ独りの世界で仕上げられた本作にはそうした妥協がない。

それを人は「狂気」と呼ぶようで、だからこそなおさら崇高なモノヅクリ魂を見たような気もする。

こういうのを見てしまうと商業的に仕組まれた配役やシナリオには周りの顔色次第かよ、チャラチャラしやがって、と思わずにはおれない。もちろんそうしたミーハーなのもジャンルとして必要だけど。

さて、考えてみればモノカキは生体維持に費用が掛かるが、その他はゼロ円でやろうと思えばできなくもなく、映画撮影に比べてなんと安上がりか。

当然ながらこちらも徹頭徹尾一人の世界でもあるのだから、負けてられない。

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