第3話

※読みにくいので行間変えます

____________________

「で、なんでそれ俺らに言うわけ?」

「確かに。それホントなら総理大臣とかローマ教皇とかの方が良くない?」

「どうやってアポ取るんだよ」

とは言えその指摘はあながち間違いではない。少なくともこんな片田舎の高校の同好会に打ち明けるよりマシだというものだ。

いやそもそも元ネタ何処なんだよそれ。


…ともかく俺は答えを待った。


美少女転校生が実は自称名探偵で世界が終わるとか言いやがる、しかもそれは真っ先に俺らが知るべき事らしくて…って、俺はいつからアニメの主人公になったんだよ。真逆神に選ばれたとか言うんじゃないだろうな。


「君達に神が憑いてるからだ」


成る程そう来たか。


「じゃなくて。何だそれ意味分からん」

「私達神の憑代よりしろって事?」

「まあそう」

「えーなんか凄い!」

「いや落ち着け、マジに受け取ってはしゃぐな」

まあそんな無邪気にはしゃいでるとこもかわ…とか言ってる場合じゃねえぇ。見惚れてる場合でもねえ。


因みにこれを本人に打ち明ける予定はない。


いやそんなことはどうでもよくて、もうここまで来たらあまり驚かない。

唯一驚いているといえば、愛代の頭は想像以上に重度の厨二病に罹っているという部分だ。残念イケメンとはよく言ったものだと思うが、美人もまた然りじゃないかと思う。

「で何、私達が世界救えば良いのね!?」

「いや違う」

「よーしそうと決まれば早速武器から調達だよヒロ君!あーでも何が良いのかな?取り敢えずお鍋被れば」

「主婦か」

何の為にヘルメットが発明されたんだよ。

「うーん…ロ○ギヌスの槍」

「スケールでかっ」

「じゃあ間を取って包丁とか?」

「絶対やめろ!!」

どこが間を取ってだそれ普通に人間の危機だわ。

「台所関係から離れようぜ」

呆れ顔で突っ込む愛代。


「えーとまずまだ説明続くんだが」

「はい」

「なんで君らなのかというと、まあ率直に言って地球滅亡の原因が君達にあるからだ」

「え」

今度はそっちか…もう少しオブラードな言い方あったと思うんだけどな…。

「君達ノアの箱舟知ってるか?」

「いやさっぱり」

「だろうな」


ノアの箱舟。聖書に登場する物語だ。

簡単に言うと、悪魔に支配された地上を一掃して浄化する為に、神がノアという誠実な純血の人間の青年に超デカい箱舟を作らせ、そこに地上の全生物を1ペアずつ乗せ大洪水を乗り切らせるという話だ。


大事なのは、その中の[悪魔]のルーツ。


「堕落した神は、悪魔となる」


堕落とは、落ちぶれること。

つまり、邪心を持って自ら地上に降りてくるという意味だ。


___要するに、


「じゃあなんだ。堕落した神様、悪魔っていうの?が俺らに取り憑いてるから、地上がヤバくなる前にもっかい世界滅ぼしとくかって話?」

「呑み込み早くて助かるよ」


「___で、なんだ。それつまり、だから俺達死ねよってことか?」


自然とトゲのある声になったのは仕方ないだろう。

俺達のせいで地球が終わるという話の要件を纏めたらそういう風にしか聞こえない。

「…そうならないように相談してんだろ」

すぐさま愛代は軽く言ったが、その一瞬の余白が、手詰まり感を増長させていた。


「え、私達、悪魔取り憑いてるの…?私達、死ななきゃやばいの…?」

ショックと驚きを足して2で割ったような表情で言うユウワ。

「待てよ」

さすがにこんなに早く死刑宣告されるような事をした覚えはないぜ、神様よ。

「落ち着けってユウ。まだ証拠ないだろ」

ユウワを(口で呼ぶ時だけユウと呼ぶ)なだめる一方、拒絶レベルを上げた俺に、愛代は少し困ったような雰囲気で頭をかいた。

「私だって本気でどうにかするつもりで来てるから、信じてもらわなくちゃ困るんだよな…」

愛代はしばらく考え込んだ後、ポンと手を打った。


どうでもいいけど動作が古い。


のが手っ取り早い。今晩時間空いてるか?」

「俺今日はバイト無いけど…」

「私も。独り暮らしだからね」

因みにユウワの家は元が結構収入は良かったので、今のところ(少なくとも高校卒業位までは)ギリ食べていける。

こんなふわふわした感じの奴なので盗まれやしないかと心配だが、意外と金銭管理はしっかりしているようだ。

「じゃあ今晩2人とも私の家泊まりに来てくれ」

『え!?』

俺女子の家とか行ったことないんだけど…!!

頭を抱える俺と裏腹にユウワは飛び跳ねて喜んだ。

「やった、お泊り!」

呑気なものである。ああでもまぁこの子供っぽい純粋さが良いんだけど…、

「場所はあの郊外のコンビニで集合だから。また電話で連絡するから番号交換させてくれ」

「まあ良いけどさ…L○NEのほうがいいんだけど。電話代かかるの嫌」

「悪いけど持ってない」

「あっそう」

珍しい奴もいるもんだ。

「あのコンビニ暗くなると怖いんだけど…」ホラーがダメなユウワが呟くので、

「じゃその前に先に合流しとこ。後で電話するし」という事にした。

「良かったー、ヒロ君と一緒なら安心かも」

と胸を撫で下ろすユウワに本気で忠誠を誓いたくなったが、


…俺多分ユウワよりホラーダメだと思う。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る