第二話【屋上と彼女】
――翌日。怪しげな女に屋上に呼び出されると、授業が終わると直ぐに自分の鞄を持って屋上へと向かった。ドアを開けてキョロキョロとしながら辺りを見渡した。
人を呼び出しといてあの女、『夜刀神かなめ』とか言う奇妙な女は居なかった。あの時、見た学生服からうちの生徒なのは間違いないが、あの女は屋上にいる気配すらなかった。
「―チッ、アイツ……! 人のことを勝手に呼び出しといてバックレやがったな! 次見つけたら女でも許さねー、俺をコケにしやがって!」
屋上の上で大きく叫ぶと持っていた鞄を地面に叩きつけた。例の『邪神討伐隊』についての話を詳しく聞くつもりが無駄足だった。とんだ間抜け面をかかされると、怒りながら屋上から出て行こうとした。すると近くで誰かがクスッと笑った声がした。
「やっほー、お待たせ。あたしはここだよ?」
「ハッ?」
とっさに背後を振り向くと、非常階段の出口の真上に彼女は高い所に座ってノンキに手を振っていた。いつの間にそこにいたのか、まったく気配を感じなかった。俺は下から上を見上げると呆然と眺めながら佇んだ。
「ウフフ。やっぱり来たね! 絶対来ると思ってた。あたしの話しに興味があって来たんだよね、
「ッ……! なんで俺の名前を…――!?」
「知ってるよ、
「誰がわんぱく坊主だ! 誰が!? てか、人のプライベートを勝手に語るな、話すな! お前、一体何者んだっ!?」
いきなり目の前の女にそんな事を話されると、動揺して慌てて言い返した。だけど女はまだ人の事をベラベラと喋った。
「小学校を卒業しても素行は治らず、中学生になっても喧嘩三昧。売られた喧嘩は買うスタンスでそれで何人も締め上げると言ったかなりの手癖が悪い性格で短気。喧嘩で負けた人をほぼ病院送りにする等、腕っぷしはかなり強い。そんな彼には唯一、彼女が今だなに居ないと――」
「てめぇ、今すぐそこから降りて来いよ! 俺は今頭にきたぞ!? 誰が素行が悪いだ、誰が! あと彼女が居ないとか余計なんだよ!」
「ウフフ♡ 一和君、まさか『図星』だった? ごめんね、彼女居ないとか言って?」
「ど阿呆が、やかましわっ!!」
「キミの事、色々調べさせてもらったよ。さてと、本題に行こうか?」
「あっ!?」
夜刀神かなめとか言う変な女は、そこから立ち上がるとヒラリと軽々とジャンプして下の地面に優雅に着地してみせた。まるであの時の風みたいだった。コイツからは、『普通の人間』の気配がなかった。むしろ神聖なようにも思えた。
「なぁ、アンタ人間か……?」
「んー? どうしたのいきなり。まさか疑ってるの? あたしが人間じゃないとか思ってる?」
そう言って俺の目の前でクスッと小悪魔みたいに笑うと、顔を覗き込んできた。いきなり彼女の顔が近くに来ると、俺は自分でも訳がわからずに胸がドキッとした。
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