退屈だった人生。
――見知らぬ女に『邪神討伐隊に入らない?』と誘われた俺は、なんの意味も知らずに。その場のノリで答えた。
「何だそれ、面白いの? てか、それって誰でも入れるのか?」
「誰でもって訳じゃないよ。『特別な人』だけが入れる選ばれた組織かなぁ?」
「は? 特別……?」
「そう。例えばキミのその身体的能力とか、並外れた力を持ってるよね。簡単に言うと邪神討伐隊はそんな所かな~?」
「は? 全然意味わかんねー。てか、何で俺?」
「それはキミが特別な人だからだよ。キミのその能力は、そんな所で燻るにはもったいないんじゃないかなぁ?」
「……っせーな、誰も燻ってなんかいねーよ! 誰がそんな得たいの知れない怪しい名前の教団に入るか、勧誘なら他をあたれ!」
そこでキッパリ断ると夜刀神かなめと言う女に『失せろ』と一言吠えた。だが、彼女はそんな俺を下から見上げながらクスクス笑っていた。
「そぉーなの? あたしにはキミが、とても退屈そうに見えたけど。ねぇ、キミは今の人生に満足してるの? その力試してみたいと思わない?」
「っ…――!」
「キミ次第になるけど。もし邪神討伐隊に入ったら人生変わると思うよ。ソレに、キミのその満たされない思いも変わるかもよ?」
彼女のその話しに俺の中で一瞬心が揺らいだ。
「アンタ、今なんて……?」
「話の続きはまた明日ね! もし興味があったら明日の夕方、学校の屋上に来て。邪神討伐隊について詳しく話してあげる。その時にキミの答えを聞かせてちょうだい!」
「おいおい、俺はまだ入るとかは言ってないぞ。てか、いきなり出会いガシラに人を屋上に呼び出しとかアンタ何者だよ――?」
目を離した隙に女は既に居なかった。まるで、一瞬の風のようだった。そこで完全に相手の気配を感じなくなるとポツーンと呆気にとられた。
「なっ、なんだよ。あの女……?」
不思議な出会いに面喰らった気分だった。俺は訳もわからないまま、その女の話しに興味本意で釣られた。
単純にその時は話しだけ聞いて帰ろうと思った。で、ヤバかったら断ろうと思った。そんな曖昧な思いだけで明日の夕方、屋上に行くことにした。
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