退屈だった人生。
「ああ、つまんねーな。クソ退屈だ」
夕日が沈む景色を一人で見ながら、積み上げた雑魚共の山の上であぐらをかいて呆けた。今日は珍しく50人がかりで俺に喧嘩を仕掛けてきた奴等がいた。見た目から他校の学生服を着ていた。
喧嘩をして派手な殴り合いの時に顔に切り傷がついた。頬から赤い血が流れていた。血を見ると少しだけ人間らしさを感じた。いや、むしろ自分が『普通の人間』じゃないような、気がしていた自分にとっては赤い血をみると新鮮だった。積み上げた雑魚共の上であぐらをかいて、虚無感に等しいくらいのクールな感傷に浸った。
「あ~あ。毎回、毎回、ホント飽きてくるなぁ。っつーか、毎度やけに人数ばかりが増えてくるのは気のせいか? どいつもこいつも雑魚ばかりで全然相手にならねーな。誰か俺を心の底から楽しませてくれる奴はこの世にいねーのかよ。もっと手応えのある喧嘩がしたいよなぁ」
あの頃。力をもて余していた俺は、もっと強い相手と喧嘩がしたいという欲求があった。誰でもいいから相手になる奴が欲しかった。生温い喧嘩よりも、本気で殴り合える喧嘩がしたかった。
――そう。俺は喧嘩が強かっただけに、自分の力を有り余るくらいもてあましていた。そんな時に急に誰かが近くで声をかけてきた。
「ねぇ、そこのキミ! キミだよ、キミ!」
「ん?」
「うわ〜、凄いね~! これ全部キミがやったの?」
「ああ、そうだけど……」
「キミ強いね、そんなに強かったら邪神討伐隊に入らない?」
見下ろすと長い黒髪に、鈴がついた赤いリボンを巻いた少女が声をかけてきた。少女は俺に恐れることなく話しかけてくると『邪神討伐隊に入らないか?』と突然言ってきた。聞きなれない言葉に思わず聞き返した。
「は? 邪神討伐隊って? てか、あんた誰?」
「あたしは3年の
彼女はそう言って明るくニコッと答えた。まるで不思議な感じだった。前に何処かで会ったようなそんなデジャヴの感覚に陥った。それが彼女との出会いだった――。
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