第6話 自分のダンジョンを手に入れました。

みんな知ってるよね?

ダンジョンの手に入れ方。


①邪神様から直接下賜される。

(ここ数千年は事例なし)

②ダンジョン経営者から引き継ぐ

(親からの贈与が大半)

③他の人が経営しているダンジョンを強奪する(生活に困った強盗犯や逃走中の政治犯が行うことあり)

④自然発生するダンジョンを見つける

(ダンジョンは世界で数が決まっており、ダンジョン経営者が上手く引き継ぎできなかったり、なんらかの事故でダンジョン経営者が死んだ場合に別の場所で新たにそのダンジョンが1から創られる)


そう、僕は今④のダンジョンを見つけたんだ。


〜20分前に遡る〜


「えっ、ここって…。」


僕はさっき使ったエコー魔法でこの洞窟を見つけられた。崖のところにあって、野宿には最適だと思い入ってみたが…。

ところで、洞窟がダンジョンであることはごく僅かなんだよ。ほとんどがただの洞窟であって、ダンジョンである洞窟を探すことなど宝くじに当たるようなものなんだ。だけど、この洞窟には空気に魔力がこもっており、ダンジョンであることはすぐにわかった。

本来であれば、これはすぐに近くの領主様にお知らせしなければならないが、そうするとこのダンジョンは接収されてしまう。僕には雀の涙程度の賞金が残るがそんなのないに等しい!

つまり、それは困る!

お金もない、食料もない、寝るところもない。そんな僕がダンジョンを見つけられたのは奇跡なんだよ?これは悪いけど領主様には秘密だね。



「ではさっそく、ダンジョンの最下層に行ってみようか。ここは何階層なんだろうか。

大抵は出来立てのダンジョンだと1階層しかないんだが…。あっ!」


一本道しかない洞窟の中をずっと歩いて5分くらいすると少し広い空間に出た。

そういえば、なんで僕が出来立てのダンジョンだと分かったかというと、ダンジョンの経営者が生存していればダンジョン入り口には「○○家」と表札が出るんだ。もちろん人間には読めない字だからプライバシーは安心だよ。


話は戻って、僕が歩き続けていると、たどり着いた空間の真ん中には

「第6ダンジョン 怠惰」と書かれた分厚い本が地面に落ちていた。



「怠惰…。まさか支部ではなく本店のダンジョンが…。ってことは、本店の経営者が寿命を迎えた又は殺された…。」



ダンジョンを見つけた喜びは一瞬で消え去り、今拾った本に目を向けると、とても怖い気持ちになった。

本店のダンジョン経営者はエリート中のエリート。ただのモンスターなど論外で、支店のダンジョン経営者すら敬意を抱くほどの力と知識に溢れた存在。そんな滅多なことでは人間にも負けるはずのない本店の経営者が…。

しかし、


「まぁ、今気にしたところで僕に何か出来るわけでもないし、気にしても無駄無駄。

さぁ、さっそく契約の手続きをしてしまおう!」



そうだよ。僕が気にしたところで、状況が明るくなるわけでもないし。今はそれより寝床の確保と食糧生産が大事だ。本店経営者をもし殺した者がいたとしたら不気味だが、とりあえずは、このダンジョンの契約を済まして、明日から早速行動を開始しよう。


えっ?僕の実家のダンジョンはどうなんだって?もちろん支店だよ。ゴブリンキングの母さんと父さんが長年経営している老舗ダンジョンの1つだよ。強欲のダンジョン第3支店。

それが実家の通称だね。


ん?明日から薬草採取はどうするかって?

そんなこともうしないよ。とにかくダンジョンのこれからで忙しいんだから。



明日は忙しくなるぞ〜。


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