14
一学期、中間試験を終えた頃、カピバラハンターGの販売日が到来した。僕は親友の
何を隠そう、僕の妹だ!
「おい、紗凪。そこに居るんだろ?」
「い、いい、いないよ!?」
妹の将来が本気で心配だ。
さておき、頭隠して尻隠さずな尾行者を引っ張り出した僕たちは仕方なく共にギャオへ向かうことにした。ギャオまでは徒歩でのんびり向かう。
因みに紗凪は金池のオタクっぷりを認知済みであり、というより、オタク友達くらいの関係ではあるのだけれど、もはや僕ですら入り込めないディープな話を両サイドから展開してくるわけで。
「そうそう、この前『ツンツンしないでデレ子ちゃん』のデレ子メイドバージョン限定プレミアムエディションを手に入れてさ、今度さっちゃんにも見せてあげるよ。確かさっちゃんはデレ子推しだったよね?」
「えーっ!? たたた、たっくん、す、すす、すごい! わたし色んなサイトで応募したのに当たらなかったんだ……み、みみみ! み、み、見たい!」
てやんでい! 落ち着けってんだこんちくしょん!
この二人、萌えを語りだしたらいつもこうだ。
金池は紗凪が仲良く出来る数少ない人物の一人である。お互いを、さっちゃん、たっくん、と呼ぶほどの仲であり、もはや兄妹みたいなものだ。
金池のやつは一人っ子だから、小さな頃から紗凪を本当の妹みたいに可愛がってくれている。
しかし何だ。デレ子プレミアムエディションは僕も一目拝んでおきたい代物だな。どちらかと言えば、僕は萌えよりSFとかアクションゲームとか、そっちの方がメインのライトオタクなのだけど。
「だったら今度、うちに来る?」
「ふえっ!? たっくんのうちに!?」
ここで、謎の沈黙が数秒。後、
「に、兄ィと一緒に、行ってもいい?」
「あ……あぁ勿論だよ。と、当然さ」
「うん。楽しみ、だね」
「そう、だね。そ、そうだ……」
「なぁに?」
「あ、ごめん。やっぱいい何でもない。次の日曜日にしようか。木下は大丈夫か?」
金池の問いに「僕に用事があると思うか?」と答えると「よし決まり」と話を切り上げる。
こうして来週、金池の家に遊びに行くことになった。
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