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 憂鬱な時間の始まりだ。そう、僕にも体育という地獄がやってきたわけである。晴れた空を見上げると雲一つない晴天が広がる。

 溜め息をついた僕が視線を下ろすと、ふと目が合った。その視線の正体とは。

 何を隠そう、僕の妹だ。


 紗凪が窓からグラウンドを見下ろしていたわけで。それにしても退屈そうな表情(とはいえ、口元しか見えないけれども、以下省略)である。

 目が合ったことに気付いたのか、先生に注意されたのか、紗凪は前を向いてしまった。


「おい木下、ペア組もうぜ?」

「おう金池かのいけ、どうしてもというなら組んでやってもいいぞ?」

「木下が乗り気じゃないなら他を当たるが?」

「おい、冗談はイケメン顔だけにしろ。じゃなくて、お願いします金池さま、僕と組んでください」


 と、僕が懇願していると、金池は校舎に視線を移した。


「どうした金池?」

「いや、何でもない」そう言ってニカっと笑う金池は控えめに言っていい男と感じる。背も高くて男らしい金池は笑うと笑窪が出来て、途端にあどけなさが露呈する。このギャップに女子は昏倒して止まないのである。

 少しは自覚しろ、この無意識イケメン。

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