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授業中、窓際の席からグラウンドを見下ろすのが僕の日課になりつつある今日この頃、というか、一年の時から上級生のムチムチを堪能していたけれど、とにかく、今日も飽きもせずにグラウンドを見下ろしているわけで。
グラウンドには体育授業中の女子たち。あまり見たことのない女子だ。なるほど、一年生か。
どれどれ、と、掘り出し物を発掘せんと肌色を追っていると、見慣れた女子が視界に入った。
何を隠そう、僕の妹だ。
紗凪は体操服姿でキョロキョロと、例えるならゲームのNPCみたいにキョロキョロと同じ動きを繰り返している。なるほど、ペアを組めと言われて相手が見つからないのか。周囲の女子たちは次々と仲のいい友達同士でペアを組んでいるけれど、紗凪は上手く相手を見つけられない様子だ。
これは授業どころじゃぁない。一大事だ。
どうする? 僕がペアになるか? 無理だ!
ならばどうすれば紗凪を救える?
あのペア組みというボッチの心を躊躇なく抉るお決まりから、どうやって紗凪を救うというのか。
——きっと紗凪は、群れから逸れ一人サバンナで立ち尽くし、餌になるのを待つ草食獣のような気分になっているに違いない。
と、そんな馬鹿な思考を巡らせていると、サクッと草食獣(紗凪)の命は救われたのだ。紗凪の数少ない友人にして無二の親友、上野あかりちゃんの登場だ。あかりちゃんは友達の作れない紗凪に手を差し伸べてくれた、言うなれば救世主、否、女神。
あかりちゃんはその成長し過ぎた胸風船を盛大に、惜しみなく、上下左右に、縦横無尽に、グイングインと揺らしながら紗凪に手を差し伸べた。
とてつもない破壊力だ。
紗凪の頭上にキラキラエフェクトが出現したのは言うまでもない。
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