第374話 18章:クリスマスの夜と言えば空を飛んでリングを取る(6)
「美海ちゃん……今日は調子悪かったのかな?」
美海が最下位だった。
なお1位は由依、僅差で2位がオレだ。
「ごめんなさい。友達と大貧民するの初めてで……」
しょんぼりする美海。
バニーガール姿ではないのだが、垂れた耳が見えるようだ。
「あんなに詳しいのに初めてって……ああ、遊んだことがあるのは家族とだけってことですか?」
双葉の頭に『?』が浮かんでいる。
「いつもは一人で……」
大富豪って、一人でできるもんか?
「全部自分の手札にならないか?」
「やだなあ。一人3人役から6役くらいで遊ぶんだよ」
そんな当たり前みたいに言われましても!?
しかも、人数にバリエーションが!?
「もう美海ちゃんが優勝でいいかも……」
「由依ちゃん!? そんな哀れみの目で見るのはやめて!?」
「あたしもそれでいいと思います」
「双葉ちゃんまで!?」
結局、寝る順番は左から、双葉、由依、オレ、美海となった。
負けを譲らない美海に、由依達がこうなるよう取りはからったのだ。
ちなみに、オレは完全記憶を使ってカウンティングすれば一位を取ることも可能だったが、あえてその能力は封印した。
左右からいい匂いがする……。
最初こそ少しドキドキしていたが、やがて睡魔が襲ってきた頃。
ボードゲームや食事をした広間の方で、人の気配がした。
位置から察するに、煙突から降りてきた……?
隣の由依を見ると、にこりと微笑んでいる。
これも彼女のしこみか。
寝室のドアがゆっくり開く。
寝たふりをしながら薄目でそちらを見ると、やってきたのはサンタコスのシスティーナだった。
ちなみにスカートはロングである。
システィーナは吊された靴下にそっとプレゼントらしきものを入れていく。
この役をやらせるために、システィーナをパーティに呼ばなかったのか……。
システィーナ自身が楽しそうだからいいんだろうけど。
「ヨシ……任務完了」
靴下にプレゼントを入れ終わったシスティーナは満足げに頷くと、サンタコスのままベッドに潜り込んできた。
5人くらい余裕で寝られる広さのベッドではあるが……。
今度こそ眠ろうと思ったが、再び広間に気配が出現した。
いや、煙突から広間に降りてこようとしている。
降りるのにだいぶ手間取っているようだ。
これも由依の仕込みか……?
由依と目を合わせると、彼女は小さく首を横に振った。
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