第372話 18章:クリスマスの夜と言えば空を飛んでリングを取る(4)

「サ、サンタとは……?」


 若干ひき気味な双葉である。

 一方、美海は「そんなもんかー」という顔だ。


 なおこのツイスターゲーム。

 始めてみたら思っていたより面白い……なんてことはなく、想像通りの内容だった。


 ただし、ここにいる四人でやるとひたすらエロい。

 妹の双葉はおいといて、由依と美海の色んなところが、色んなところに当たる。

 当たりまくる。

 陽キャパリピ達が好むはずである。


 こんなんで遊んだら、えっちな気分になってしまう。


「おもったより恥ずかしいゲームね……」


 由依は赤いミニスカの裾を気にしながら、オレの頬に太ももを押し付けてくる。


「これもう……どきどきがとまらないよぅ……」


 美海にいたっては、オレの腕に胸を押し付けながら神器を発動してしまっている。

 ミニスカサンタ&バニーガールとくんずほぐれつ……。

 流石に理性が危ない。


「お兄ちゃん……」


 そんな冷たい目で見ないでくれ義妹よ……。

 不可抗力だってば。


 この後も、由依の用意したパーティーゲームは続いた。

 ただのトランプでさえ、ミニスカサンタとバニーガールを前にすると、えっちな感じになるから不思議である。


 窓の外がすっかり暗くなり、ケーキも食べ終わった頃。

 オレ達四人は、ソファにならんで映画を見ていた。


 選択肢に上がったのは、一人で留守番をする子供が泥棒を撃退するコメディ、なかなか死なない男によるアクション、水で増える可愛くも怖い小鬼が暴れるパニックものだ。


 どれも懐かしい映画達だが、この頃でも既に定番だったんだよな。

 というか、テレビで映画をあまりやらなくなったせいか、地デジ化した画質には流石にたえられないからかはわからないが、未来ではあまり放送されなくなってしまった。

 かわりにリメイクと言う名の掘り起こしが流行ったりもしてたが。


 由依と美海が見たことないという理由で、選択されたのはパニックものだ。


 左にミニスカサンタ、右にバニーガール、脚の間に義妹という身動きの取りにくい状態である。


 友人どうしのクリスマスパーティーって、映画の上映会とかするんかなあ?

 アメリカのホームドラマくらいでしか見ない気がするけど。

 ツッコミ不在なので、真相がわからんぞ。


「悪い小鬼が増えたよ!? だいじょうぶかなあ!? ねえねえ!?」


 美海が少しわざとらしく怖がって見せながら、オレの腕を胸で挟んでくる。

 随分と長く神器を発動できるようになったものだ。


「こ、これがクリスマス……はぁはぁ……なんてえっちなの……」


 もじもじ脚を動かす仕草はエロいにもほどがあるものの、いったい何を妄想しているのかちょっと怖い。

 この調子だと、クリスマスが終わるまで神器を発動しっぱなしなんじゃないかと思うほどだ。


 そんな美海に対抗してか、由衣はオレの手をぎゅっと握ったまま、映画に夢中だ。


「ねえカズ! 小鬼が増えたよ! 街が大変なことになってる! 太陽光に弱いなら、紫外線照射装置でももってくればいいのにね。柱の乙女にも効きそうなやつ!」

「ドイツの科学力は世界一とでも叫びながら浴びせるのか?」

「それ楽しそう!」

「由依さんの趣味が時々わからなくなります……」


 オレの胸に後頭部を預けた双葉が、はしゃぐ由依を死んだ目で眺めていた。

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