第226話 12章:ヴァリアント支配伝ヒミコ(20)

「由依! 美海! 双葉に寄れ! 双葉は二人を入れて神域絶界!」


 三人はオレに従い、神域絶界の中に消えた。

 その間も、ヴァリアント達が散発的に飛びかかってくる。

 しかし、オレはそのことごとくを切り払い、焼き尽くす。


「ふむ……そう焼かれてしまっては足りんな」


 ぬらりひょんは目からレーザー状の魔力をヴァリアント達に連続して放った。

 その対象はヒミコの部隊にも及んでいるが、そちらは結界によって阻まれた。


「うぐわぁ!?」「ぐっ?」「ぐぼぁっ!」


 レーザーに貫かれたヴァリアントは、その傷口が腐食し、やがて絶命しながらぬらりひょんの魔力塊へと吸収されていく。


 生きているヴァリアントまでもエネルギーに変えるのかよ!

 ザコのことは本当に使い捨てとしか思ってないようだ。

 よくアレについていく気になるものだ。


 それだけオレを倒したいってことか?

 いや……何かがおかしい。

 ヒミコがよほど嫌われているというなら、ぬらりひょんにつくというのもわからなくはないが……。


 違和感の正体を探すのは、とりあえずぬらりひょんを倒してからだな。


「神域絶界に逃げ込まなかったこと、後悔するがいい!」


 ぬらりひょんが手を振り下ろすと、一抱えほどに肥大化した魔力塊がオレ目がけて降ってきた。


 避けるのは容易い。


 そう思った瞬間、オレの全身が硬直した。

 高位のヴァリアントが総出で、オレに拘束系の術を多重で発動したのだ。


 なかなか前に出てこないと思ったが、これを狙っていたのか!


 そこそこの術士であっても、その圧力で体がひしゃげて崩壊するほどの強力な束縛だ。


 だが――!


 オレは全身の魔力を使って、強引に束縛を解除した。


「やりおる! だが遅い!」


 ぬらりひょんの魔力塊はすでに目の前に迫っている。

 オレはそれを両手で受け止める。


「ぐぐぐ……こいつはなかなかの威力……だ……な!」


 なんとか後方へと弾いた魔力塊は山の斜面に激突。

 魔力塊のエネルギーがドーム状に広がり――


 ――どがあああああああ!


 大爆発を起こした。


 爆炎や巻き上げられた土砂やマグマで視界がゼロになる。

 オレは周囲に結界を展開し、それらが収まるのを待つ。


「ぎゃはははははは! どうだ! みたか! これがぬらりひょん様の奥義だ! 余波でもこの威力!」

「さすがぬらりひょん様!」

「人間など生きてはいまい!」


 残ったヴァリアント達が下品な笑い声を上げた。


「くくく……ヒミコの技を参考にして開発したというのが癪だがな」


 土砂の向こうで、ぬらりひょんもまた勝ち誇っている。

 よくもまあ、フラグにしか聞こえないセリフを吐けるものだ。


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