第135話 8章:ブラッディドリーマー(20) SIDE ウルズ

SIDE ウルズ


 祭りで気の高ぶった人間の目玉は、とても美味い。

 これまで色んな部位を色んな食べ方で試したが、これが一番美味い。

 特に若い人間の集まるこの学園祭というやつは、最高の食堂だ。


 それにしても、せっかく苦労して作った結界を無駄にしたあの人間はなんだ?

 あれが最近噂になっているヴァリアントハンターだろうか。


 たしかに強そうだった。

 正面から戦って、勝ち目があるかはかなり怪しい。

 戦闘能力はそれなりにある方と自負してはいるが、あのスサノオを倒したなんて噂もある。

 人間がスサノオに勝てるとはとても思えないのだけど。


 だがアタシにはこの能力がある。

 いくらあの人間が強くても、アタシの食事を邪魔させない。


 せっかく苦労して設置したループポイントなのだ。

 何度も味わわないと、元がとれない。

 次に設置できるのはかなり先になってしまう。


 しかし、最後のループは食べずに退散か……。

 アタシ達を狩りまわっているような人間と戦うのはゴメンだし、しょうがない。


 君子危うきに近寄らず。

 人間のことわざだったかな。

 

 この能力で繰り返せば、最高に美味しいご飯を何回でも食べられるけど、最後はお腹が膨らまないのが難点だ。

 我慢するのがとっても大変。


 群れるのは好きじゃないけど、今夜は『食堂』にでも行こうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る