第32話 4章:パパ活ですか? いいえ、援交です。(5) SIDE 鬼瓦

SIDE 鬼瓦


 まったく! なんなのあの女!

 今までさんざんお嬢様キャラで男子の人気をとっておいて、あんな本性を隠してたなんて!

 わざわざ足をかけたりする普通?

 おかげでまつりがみんなに怒られたじゃん!

 水ぶっかけようとしたのはちょっとやりすぎとは思ったけど……。

 しょうがないじゃん、ちょっとグチったらみんなでやってやろうってなったんだから。

 そこでノらないのは女子じゃないっしょ。


 学校一モテる女子を自分から捨てたんだから、それくらい覚悟の上だろうしね。

 まつり悪くないよ。


 あーもう、チョムカー!

 こういう時はオヤジから金を巻き上げるに限るよね。


 こうやって街に立ってれば、金持ちのオッサンが声かけてくれるんだから。

 まつりだってモテるんだよ!


「キミ暇?」


 ほらきた。

 んー……なんかひょろっとして冴えない感じのオヤジだなあ。

 スーツを着てるってことは、リーマンなんだろうけど、金あるのかなあ?

 でも、なんかちょっと難波に似てるからコイツにしよう。

 腹いせにたっぷり巻き上げてやる。


「おなかすいちゃったんだ」

「おじさんもだよ。まずはご飯かな?」


 ひょろい見た目の割になれている感じだ。

 これは金を持ってるかも。


 まずは、なんて言ってるけどそれ以上なんてないんだけどね。

 まつりの処女はとっても高いんだから。

 とびっきりの王子様用にとってあんのよ。


 あの二人みたいなビッチじゃないんだから。

 きたないオヤジとヤるなんて絶対ごめんよ。


 オヤジについて行くと、だんだんと人通りの少ない路地裏へと進んでいく。

 ラブホ街に向かってる?


「ねえちょっと。先にご飯食べたいんだけど?」

「こっちに良い食堂がある」

「食堂……? 定食屋なんてヤだよ?」

「安心しろ。とびっきり美味い食材を使ってるところだ」

「ふーん?」


 まあいいか。

 ラブホに連れ込まれそうになったら叫んで逃げればいいし。

 お小遣いもらってから逃げようと思ったけど、今回は難しいかなあ。

 ちぇっ……今日はほんとついてない。


「さあここだ」

「ここって……ぼろっちぃビルだけど?」

「いいや、食堂さ」


 そう言うオヤジの目がぎらりと光った気がした。

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