第20話 3章:神って欲望にまみれたヤツ多いよな(3)

「触っていいよって……今か? なんかエロいんだが……」


 オレは思わず由依の太ももから目を逸らせた。

 あっちの世界では露出度の高い装備を身につけた戦士もいたが、こちらの世界だとなんだか照れるから不思議だ。


「エロくないわよ! ……はっ! まさか、ここで脱げというの?」


 顔を真っ赤にするんじゃない。

 こっちも恥ずかしくなるだろ。


「なんで『ここで』なんだよ! 更衣室があるだろ」

「……脱げないのよ、このタイツ」

「……くさそう」

「ひどくない!?」

「その神器を使う制約が、履いたら二度と脱げないとかなんだろ? じゃあしかたないじゃないか」

「おトイレとお風呂の時は脱げるわよ! 常に体の一部と触れていればいいんだから」


 風呂に黒タイツを持って入ってるってことか?


「洗濯は?」

「自己修復機能でミクロな異物も全て除去するから大丈夫よ」

「そいつはすごいな」


 あちらの世界でその方法を思いついていたら、風呂に困ることもなかっただろう。

 武具に自己修復魔法はかけていたが、なるほど……異物の排除は考えていなかった。


「とにかく! 触って色々わかるなら触ってみて。それで強くなれるなら御の字だわ」

「まあな、じゃあ触るぞ」

「う、うん……」


 オレは由依の太ももにそっと触れた。

 黒タイツの滑らかさと、引き締まりつつも柔らかな太ももが気持ち良い。


「んっ……」

「変な声だすなよ!」

「しょうがないでしょ! 感覚増幅機能のせいで敏感なのよ!」


 なんだかすごくドキドキするが……。

 オレは掌から微量の魔力を神器に送り込み、構造を解析する。


「んっ……ちょっと……なにこれ……あっ……気持ち……い……」


 由依はびくびくと震えながら熱い吐息を漏らしている。

 そちらを気にしないように努めながら、解析を始めた。


 なんだこれ……こんなヤバイもんを使ってるのかよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る