階段をのぼる
バブみ道日丿宮組
お題:いわゆる階段 制限時間:15分
階段をのぼる
いったい登り始めてどれくらいの時が経っただろうか。
「……」
螺旋階段は上に続いてるのが見えるだけで数分前と何も違いがない。下でも見れればよかったのだが、螺旋階段の真ん中は柱があって不可能。途中休憩地点として存在してると思われる空白があるだけで下に降りるということも不可能。
下が見れたのなら飛び降りたくなるか、恐怖するかの二択しかないから、これはこれでよかったのかもしれない。こうして僕が登り続けるという現実は変わらないのだから。
さて考えてるうちに休憩地点へ到達した。
「……」
簡単な食事と、簡素な睡眠器具。そして水洗トイレ。
そうトイレが毎回存在してる。
そのおかげで我慢するというのが、登る苦痛以外存在しない。外に行きたい願望という苦痛もあるにはあるが考えるだけ無駄。
ご飯が食べれて、睡眠できて、トイレもある。
階段をのぼるという行為がなくなればここは楽園だったかもしれない。学校での僕は閉塞的で味方なんていなかった。徹底的に無視と無視される毎日だった。
だからかもしれない。
ここでの生活を悪いものと思わなくなってきたのは。
ただ……それでも誰がこんなことをさせてるのかは気になる。世界にこんな施設があると聞いたこともないし、敷地もないはずだ。
そうなると宇宙人にでもさらわれたか? ただそれにしてももう少し頭脳を使った実験をしそうだ。ここまで無意味な行為を宇宙からやってきた生物がするとは思えない。
途中まで僕は何段、何部屋あるかを数えてきたけれど、今はもう数えてない。
なぜかといえば僕が数えてたからか、休憩地点には数字が書かれてるようになった。そこには100とある。少なくとも100部屋分登ったことになる。
縦に100階ある建造物……聞いたことがない。
登場者の気持ちを読み取り、改変する。そんなことが今の人間にできるとも思えないのだけど、やはり宇宙人でもないと思う。
堂々巡りをするばかりで、今日も僕はここで眠る。
階段をのぼる バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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