家族外の家族
バブみ道日丿宮組
お題:団地妻の保険 制限時間:15分
家族外の家族
「ただいまぁ」
「おかえりなさい」
毎日学校から帰ってくるとお母さんがわざわざ玄関まで出てきてくれる。
「今日は楽しかった?」
「楽しかった。そうだ、テストで一番になったよ」
カバンから100点花丸がついたプリントを取り、手渡す。母は受け取り、嬉しそうにうんうんと何度も頭を上下させた。
「あら凄いわね。わたし国語苦手だったのよね」
「そうなんだ。じゃぁお父さんかな」
「どうだろう? お父さんが誰かわかってればいえることもあるんだろうけど……」
難しい顔をお母さんは見せる。
お母さんが妊娠したのは、高校に入る時。
学校で不良グループに意見して、激怒され、まわされたの原因という話。下ろすことも考えたけれど、授かった命に違いはないからと私は産まれることになった。
そんな過去だからか、お母さんがこの話をするのはあまり見たくない。私が元気でいられればお母さんは幸せ。笑っててほしい。
「調べてもらおうか?」
「いいよ。お父さんなんていなくていい。お母さんだけがいてくれれば私は嬉しい」
言い終わると抱きしめられてた。
凄く暖かくて、安心できるお母さんの胸の中。
「そうはいってもお父さん代わりは欲しいものよね?」
「そうかな? 今までだっていなかったでしょ」
「そうね。だから相談できるお役所の方をお呼びしようと思うの」
役所? 硬い感じの人かな。
「今までわたしたち家族を支えててくれた人よ。家族にはならないけど、支援だけをする団体の一人なの」
そんな存在がいるのか。不思議だな。自分の幸せだけを人間は考えてるものだと思ったけど、世界は広かったみたいだ。
「わかった。お母さんがそういうなら会ってみる」
「うん、そうしてくれるとお母さんも助かるかな」
おやつあるから着替えてきなさいと、お母さんは居間へと歩いてった。
私はカバンを握り直すと、二階にある自室へと向かった。
家族外の家族 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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