第20話 頑張ってるのはアンタだけやないで!?
★★★(キモデブ)
ブヒヒヒヒ。
暴れろワン。暴れろワンエロマニア!
そしてもっと女どもを泣かせるワン!
エロマニアアアアアアアア!!
「うわーん!!」
「助けてー!」
「私、あんな顔になりたくないよぉ!!」
オデが誕生させたエロマニアに、女どもは恐れおののいてるワン。
……この……アヘ顔ダブルピースエロマニアに!!
このエロマニアは完璧だワン。
何せ、顔と手しかないのだからワン。
直径5メートルくらいの生首に、それに見合うサイズの手首が傍に浮いている。
生首はつるっぱげで、大きく舌を吐き出し、快楽に蕩けた目を晒しているワン。
所謂アヘ顔……。
そして、宙に浮いた手首は人差し指と中指を立てた所謂ピースサインを両手でやっているワン。
……故に「アヘ顔ダブルピース」……。
巣での会議で、明らかになったことは。
奴ら、ノラハンターどもの浄化技は、両爪先、顎、両脇、両乳首を同時に打ち、突かないと発動しないという事だワン。
……見よ! ワン!
このエロマニアは、頭と両手首しか無いから……
爪先が無い!
脇が無い!
乳首も無い!
つまり、絶対に浄化不可能!
ノラハンター恐れるに足らぬワン!
「やれ! エロマニア! もっと女どもを泣かせるワン!」
エロマニアアアア!!
オデの叫びに、エロマニアは応えるワン。
ダブルピースの指先から、Vの字ビームが放射され、逃げ惑う女どもを直撃するワン。
すると……
「うおーん!」
ビームを浴びせられた女は、獣のような声をあげ、舌を吐き出し、目を蕩けさせ、手はダブルピースサイン……。
つまり、アヘ顔ダブルピースになったのだったワン。
「うおーん!」
アヘ顔ダブルピースに成り果てても、まだ意識はあるのか、女は泣いていたワン。
それを見た他の女たちは、自分はあんなのになりたくない、と恐怖し、目に一杯の涙を溜めて必死で逃げ惑う……!
おお……喜んでいるワン!
女神マーラ様はお喜びワン!
分かるワン! 伝わってくるワン!
このキモデブがやって見せますワン!
ですから、ですから何卒人間にしていただいた暁には八頭身イケメンに……!!
オデがそう、女神マーラに祈りを捧げたときだったワン。
「そこまでよッ!」
「ノラハンター参上ッ!」
金髪ロングの純白のフリフリ姿と、赤髪ショートのノースリーブ黒のフリフリ姿。
……憎きオデたちの宿敵、ノラハンターのJC2名が、オデたちの前に現れたのだったワン。
★★★(テスカ)
人気のないところで変身と名乗りを済ませ、現場に駆けつけて驚いた。
今度のエロマニア、頭と手首しかあらへん。
敵さん、しっかり対策しとる……。
やっぱり、危惧してた通りになってしもた……。
相談して正解やったんやね……。
しかし……
今回酷い目に遭ってる女の子。
悲惨過ぎる……。
なんやねんあの目。あの顔。そしてあの仕草。
変な目ェして、ベロをべーって吐き出して。
両手でピースサイン。
みっともなさ過ぎる。
酷過ぎるわ……!
エロマニアアアアアアア!!
そして生首エロマニア、ウチらに向けてピースサインしてきよった。
そのピースサインが眩く輝く!
マズイッ!
ウチらは左右に跳んだ。
ピースサインから放射されたVの字ビームは、ウチらを狙っていたけど当たらなくて……
ウチらの後ろにあった、居酒屋の狸の置物命中した。
ビームを浴びた居酒屋の狸の置物……
ベロを吐き出して、変な目で、両手がピースサイン。
……女の子たちはこのビームを浴びたんか。
なんという恐ろしいエロマニアなんや……!
無生物までこうも変えてしまうなんて……!
「ブヒヒヒヒ! 恐れ入ったかワン!?」
このアヘ顔ダブルピースエロマニアの前では、無生物ですらアヘ顔ダブルピースになってしまうのだワン!
このオデが作り出したエロマニア、浄化できるものなら浄化して見せてみろワン!
ブクブクに太った黒い人面犬が、勝ち誇ったみたいに言いよる。
調子に乗り腐って……!
でも、厄介なのは事実やね。
まずは、あのビームを喰らわへんように……!
ウチはヒカリさん……イザナミハンターと頷き合って、左右に分かれた。
そしてサイドステップを駆使して、的を絞らせへんようにして……
途中、あたらへんかったVの字ビームが、街路樹や、看板に当たったけど。
街路樹や看板までアヘ顔ダブルピースいうやつに変わったのには肝が冷えたわ。
どんだけやねん!
なんて恐ろしい奴なんや!
街路樹や看板に目と口と手がついて、アヘ顔ダブルピース……!
この分やと、馬車や戦車、船なんかまでアヘ顔ダブルピースにするかもしれへん。
そうなったら、そのものは元の性能を発揮せえへんやろうね……!
アヘ顔ダブルピースになった馬車や戦車が、元のように走ったり、戦場を駆け抜けたりできるはずあれへんもんな。
こいつを放置したら、被害は拡大するばかりや!
早くなんとかせんと!
……避けながら、分かったことがある。
こいつのビーム、連射はできへんみたいや。
1回撃つと、再チャージが完了するまでに数秒のタイムラグがある。
狙い目は……そこや!
ビィィィィム!
ウチはV字ビームを紙一重で躱すと、エロマニアに突っ込んだ。
突っ込んで、手首のひとつに組みつき……
後ろに回って、人差し指の背中に、足を引っかけ踏みしめる!
エ、エロマニアッ!
……焦っとるね。
でも。もう遅い!
ウチは人差し指の第一関節に後ろから手を掛け、思い切り背筋と脚の力を使って後ろに捻じ曲げた!
エロマニアの人差し指が、曲がってはいけない方向に捻じ曲がる!
メギィ!!
エロマニアアアアアアアア!!!
エロマニアの悲鳴。
どうや!
これでもう、ピースサインはできへんな!
ペルセポネキャメルクラッチや!
エロマニアアアアアア!!
見ると、ヒカリさんも、おりんスティックを如意棒モードに変形させて、打ち据えることでもう片方の手の人差し指と中指を破壊してはった。
よし!
これでもう、やっかいなビームは撃たれへんはずや!
★★★(キモデブ)
ブヒイイイイイイイ!!
何なのだ!? 何なのだワン!?
奴ら、最終的に浄化するのは無理と分かってるはずなのに、全く躊躇わず、部位破壊に乗り出してきたワン!?
……まさか……
浄化を諦めて、抹殺する方向に舵を切ったワンか!?
そんな酷いことをするはずが……
お前ら正義のJCだろうがワン!?
正義のJCがそんな酷いことをしていいと思っているのかワーン!?
両手のダブルピースを完膚なきまでに破壊され、もはやアヘ顔ダブルピースエロマニアではなく、アヘ顔エロマニアにランクダウン。
オデが……オデが満を持して送り出した渾身のエロマニアが……!
畜生……畜生ワン……!
そう、オデがエロマニアの無惨な姿に悔し涙を流していると。
「よし」
「ええ」
ノラハンターのふたりは、顔を見合わせ頷き合って、こう言ったのだったワン。
「今こそ浄化よ!!」
……なん……だとワン!?
★★★(テスカ)
「ブヒイイイ! 出来もせんことをほざくなワン!」
ブクブクに太った今回のノライヌエンペラーが大声で吠えよった。
唾を飛ばしながら、必死な様子で。
「乳首も無ければ、爪先も脇も無いエロマニアをどう浄化するつもりだワン!」
もはやこいつには、自分のエロマニアは浄化不能。
それしか縋るものが無いんやろうね。
それが、こいつの最後の希望なんやろう。
けど……
……そうやね。
ちょっと前までなら、そうやったよ。
でも……今は違うんや!
いつまでも、同じ弱点を抱えたまま放置してるなんて思わんといて!
ウチらは常に成長をしとるんや!
アンタが対策を打ったように、ウチらかて対策を打ったんよ!
頑張ってるのが自分だけやなんて、思うんやないで!
「いくでイザナミ!」
「ええ! ペルセポネー!」
ふたり同時に飛び出した。
今こそ成長したウチらを見せるときや!
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