第五十九話 アーノルド家からの刺客

 俺達はハンターランク3000のクエストダークドラゴン討伐に向けて雨の国ウィールを出国して闇の洞窟へと向かっていた。


 「地図だとこっちだよな」

 「暑い。もう三日は野宿だぞ」

 「遠いんだから仕方が無いだろ。野宿って言ってもテントあるだろ。水や食料もあるし」

 「魔法で空を飛びたい。乗り物が欲しい」

 「我儘言うなラファ」


 ラファが我儘を言い駄々をこねている。

 全く手のかかる奴だ。

 

 「しかしダークドラゴンはどのくらいの強さなんですかね?」

 「ライトドラゴンと同等ぐらいじゃないか。だったらあの時より強くなってるし勝てるはずだ。まあ油断はしないが」

 「問題は噂のダークネスドラゴンですかね」

 「だな。未知数なドラゴンだからな。エターナル関連かもしれないしな」


 俺とアイリスがエターナルについて話しているとニーナが興味津々な表情で会話に混ざって来た。


 「エターナルとは何だ?」

 「ああ。謎の未攻略ダンジョンだよ。女神と俺達しか認知してないダンジョンだ」

 「そんなダンジョンがあるのか!?」

 「ああ。俺は第五層まで攻略したがかなり地獄だった」


 俺はエターナル関連や俺についての今までの軌跡をニーナに全て話した。

 

 「色々大変だなレイン。だがそのバグ化とかいう奴は凄いではないか」

 「バグ化させるまでが大変だがな」

 「そうか。だが頼りにして良さそうだ」

 「そういや目的があるんだって?」

 「まあな。後々落ち着いたら話す」


 無理には俺は聞かなかった。

 そして闇の洞窟を目指して歩いていると、突如エンジン音が聞こえた。


 「何だ!?」

 「反対方向から何か来ます」


 俺達は反対方向を振り返る。

 するとそこにはバイクに乗った筋骨隆々の男が居た。


 「見つけたぜガキが」

 「誰だお前?」

 

 バイクから降りてくる男。

 渋い顎鬚と割れた筋肉、そしてダイヤモンドの剣と鎧を装備している。


 「俺様の名前はガノン。レイン、お前の父親から暗殺命令を受けてやって来た」

 「何!? 父さんが!?」

 「ああ。戻ってこないなら邪魔だとよ。おっ、いい女を複数連れてるじゃねえか」

 

 ちいっ。父さんめ。

 戻ってこないと見るや殺しに来たか。

 実の息子を追放だけでなく、暗殺か。

 全くつくづく尊敬できない父親だ。


 「ラファ鑑定頼む」

 「ああ任せろ」


 汗を右手で拭きながら鑑定するラファ。

 相当暑い環境だ。


 「レベル320。HP3800。攻撃力4000。防御力3600だ」

 「中々強いな」

 「だがレインなら余裕で勝てる。油断しなければな」

 「ああしないさ。任せておけ」


 俺は聖剣エリデリートを右手に持ち構える。

 ガノンはダイヤモンドの剣を持って構える。


 「鑑定士がパーティーに居るとは羨ましいぜ。お前を殺したらたっぷり可愛がってやる」

 「黙れ下種が。悪いが命乞いをしても無駄だぞ」

 「はははっ。殺す気満々かよ。外れスキル【経験値0】のお前如きがこの俺様を殺せるはずねえだろうが。こちとらハンターランク600だぞ!」


 叫ぶガノン。

 ハンターランク600で自慢とは情けないな。

 

 「後悔しても遅いんだよクソガキが。魔法超速発動」

 

 ガノンのスピードが一気に上がる。

 だが俺の俊敏は∞だ。無駄だ。

 俺は仲間を抱えて仲間を少し離れた場所まで移動させる。


 「こいつ速ええ!? お前一体何した!?」 

 「何ってただ移動しただけだが。お前こそ吠えてた割には遅いな」

 「クソガキが。だったらこれならどうだ。魔法雷光弾」


 雷が凝縮された光の球が高速で俺に向かって飛んでくる。

 俺はそれを難なく回避した。

 ここはフィールドが広い。簡単に回避できる。


 「クソが一体どうなってやがる!?」

 「今度はこっちの番だ。スキル雷閃発動。スキル煉獄発動」

 「何だそのスキルは!? しかも同時発動だと!?」


 俺の現在の攻撃力は4400。そして聖剣エリデリートの武器効果で相手の元々の攻撃力を50%吸収。つまり+2000だ。これで6400。

 そしてスキル雷閃で相手の元々の防御力80%を削り自身の攻撃力に加える。

 これで俺の攻撃力は+2880され9280だ。

 更にスキル煉獄で+1000して二倍する。

 合計20560だ。

 

 「はあああああああああああああああああっ!」

 「く、くそこいつ!」

 「無駄だ。俊敏、そして命中率は∞だ」

 「ぐわああああああああああああああああああああっ!」


 俺の攻撃を受けて消滅するガノン。

 俺は聖剣エリデリートを鞘に納めた。


 「流石の強さだな。いったい今の攻撃力幾つだ?」

 「今は20560だな」

 「20560!? 一撃でそれなら大体の敵は勝てそうだな」

 「まだまだだよ。何せゲーヴみたいにHPが滅茶苦茶多い奴もいれば銀の騎士みたいに防御力が極端に高い奴もいるしな」

 「そうか。その油断しない心がけはいいな。それに甘さは捨てたようだな」

 「ああニーナのお陰でな」


 俺は満面の笑みで笑って見せた。

 ニーナは両目を見開いた後、少しだけ赤面した。

 暑いのかな?


 「それにしても実の親なのに酷いですね」

 「悪いな巻き込んで」

 「いえ。私は全然気にしてませんから。でも今回で懲りてくれて諦めてくれればいいんですが」

 「いや父さんは私利私欲の塊だ。そんな簡単に諦めたりはしない筈だ。もっと強力な刺客を差し向けてくる筈だ。もっと強くならないと」

 「私ももっと強くなります」

 「ありがとうアイリス」


 ラファとニーナも強く頷いてくれた。

 嬉しいな。こんなに素敵な仲間に囲まれることが出来て。


 「じゃあ闇の洞窟へと向かうか」

 「あのバイク使えるか?」

 「あれ乗れて二人、いや三人?」

 「頑張れば四人乗れる。ネフィーは空飛べるしな」

 「マジか!?」

 「マジだ」


 ラファがどや顔でそう言う。

 で、誰が運転するの?


 「うわああああああああああああああああああああっ!」

 「きゃあああああああああああああああああああああっ!」

 「おい止まれラファ!」


 俺達三人はガノンが乗って来たバイクのけつに乗っかって大声を出す。

 運転しているのはラファだ。

 

 「楽しいな!」


 ラファが楽しそうに運転している。

 後ろに乗っている俺達は全然楽しくない。

 ああ吐きそうだ。


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