第五十七話 グランアード、嫉妬する

 エイレンside


 レインを経験値0の足手纏いは要らないと追放したパーティー【グランアード】。

 彼らは現在嫉妬に駆られていた。


 「くそふざけるな! あんな無能が何故」

 「それは俺が聞きてえよ。何で経験値0なのにあんなに強くなってるんだよ」

 「知るか。あいつ一体どうやって」


 エイレン達は現在フレンディア国に滞在している。

 そしてそこでレインに関する様々な話を耳にした。

 話の内容は巨竜討伐、ブラックスライム討伐、未攻略地下ダンジョン攻略、そして魔剣聖ラールを圧倒したと。


 「くっ。外れスキル【経験値0】の癖に調子に乗りやがって」

 「どうする? 連れ戻すか?」

 「馬鹿言え。今更そんな事出来るか。俺達が追放したのが間違っているみたいじゃないか!」

 

 エイレンはレインを追放した判断が間違っていたとは受け入れられなかった。

 プライドが高いエイレンは決して自身の過ちを認めようとはしない。


 「この目で確かめてやる」

 「まさかレインに会いに行くのか?」

 「ああ。あいつを圧倒すれば俺が上だと世間にも証明できるしな。追放も間違っていなかったと」

 「そりゃそうだけど。勝てるのかよ」

 「当然だろ! この俺が負けるとでも思っているのかお前は!」

 「い、いやそんな事は思ってねえけどよ」


 エイレン達【グランアード】の評判は地に落ちていた。

 最近メキメキと活躍しているレインを追放したパーティーだと噂されて。

 見る目が無い連中だと。


 「カルラ、ルートはどうした?」

 「さ、散歩してくるって」

 「速く連れ戻せ。直ぐにレインのいる場所まで行くぞ」

 「何処にいるか分かるの?」

 「地下ダンジョンがあったスリベルグ国の近くの国だろどうせ。スリベルグ国へ行けば情報が手に入る」

 「そ、そうね」


 カルラは急いでルートを探しに行く。


 「くそ忌々しい無能め。よくも俺に恥をかかせてくれたな。後悔させてやる」


 エイレンは拳に力を籠めすぎて拳から血が滲んでいた。


 ルートside


 「やっぱり強くなる方法が経験値以外にもあるんですね」

 

 ルートはフレンディア国を散歩しながらそう呟いた。

 巨竜が破壊した街はまだ修繕中であった。


 「あんな破壊力を誇る巨竜を倒せるとなると経験値0では無理ですからね」


 ルートはレインに会ったら【グランアード】を抜ける予定であった。

 元々ルートの目的は別にある。

 【グランアード】に憧れたわけでも心酔しているわけでもないのだ。


 「私の目的にレインさんが必要です」


 ルートは水を飲みながらそう呟いた。

 その散歩中にもレインの噂と【グランアード】の噂が街中で広がる。


 「おい聞いたか。レインの奴凄いらしいぜ。今度は地下ダンジョン攻略だってよ」

 「ああ滅茶苦茶凄くなってやがる。あの噂は嘘だったのか?」

 「噂?」

 「知らねえのかよ。外れスキル【経験値0】を女神から授かって優秀なメンバーが揃うパーティー【グランアード】を追放されたんだよ」

 「マジか。でもその【グランアード】のパーティー連中見る目ないな」

 「まあな。でもエイレン達の気持ちも分かるぜ。経験値0なら普通追放するよな」

 「でも一体どうやって経験値0で強くなったんだろうな?」

 「外れスキル【経験値0】自体が嘘とか?」

 「馬鹿言えそれはねえよ。女神の決定は絶対だ」

 「そうだよな」


 もう国中レインの活躍で持ち切りだ。

 そして同時にエイレン達の見る目のなさも指摘されていた。


 「いた。エイレンがレインに会いに行くって」

 「本当ですか!?」

 「え、ええ」

 「楽しみですね」

 「でも流石にエイレンには勝てないと思うわよ」

 

 ルートはカルラの言葉に首を傾げた。


 「何故ですか?」

 「だってエイレンは神童で天才だもの。それに【神速の剣聖】っていうレアスキルを授かってるのよ」

 「私はレインさんが勝つと思いますが」

 「しーっ。エイレンに聞こえたら不味いわ」

 「本当の事ですから」

 「兎に角エイレンには勝てないわよ。幾らレインが強くなったと言っても」

 

 カルラはレインよりエイレンを贔屓していた。

 それはカルラがエイレンを好きだからだ。

 正確にはカルラはより優秀な男性が好きなのだ。

 大人しそうに見えて意外と腹黒い性格の持ち主である。


 「楽しみですね。レインさんとエイレンさんの戦い」

 

 ルートは楽しそうな表情でカルラと一緒に戻っていく。

 カルラの考えは間違っていて、ルートの考えは正しかった。

 だがそれをまだカルラは知らない。

 そしてエイレンが後悔することも。


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