第五十六話 鍛冶師ニーナ
ゲーヴに止めを刺した鍛冶師ニーナ。
こいつかなり強い。
鍛冶師なのに戦えるのか?
「雨に当たらなかったのか?」
「私は水を弾くスキルを持っている。それを使用していた」
「成程な。それと俺は別に善人じゃない」
「いや善人だな。見ていたが甘すぎる。相手はお前との約束を裏切る気満々だったぞ」
まあ確かに少し甘かったかもしれない。
そこは反省だな。
敵はしっかり倒そう。
改めて俺はそう誓う。
「これで祝福の雨に変わったのか?」
「多分変わっている。が、確証はない」
「俺の仲間に鑑定士がいるんだ。雨を鑑定してもらおう」
「ほう珍しいな」
「お前が言うな」
鑑定士も珍しいが鍛冶師も十分珍しい固有スキルだ。
俺やアイリスも含めて固有スキル珍しいのが揃ってるな。
「皆ただいま」
「おかえりなさい。そちらの方は?」
「ああ。紹介するよ、鍛冶師のニーナだ」
「鍛冶師!?」
「ああ俺も驚いた」
アイリスが驚いている。
ラファが興味津々な表情でニーナをキョロキョロと見ている。
「ラファ、先ずは雨を鑑定してくれないか」
「任せろ」
そう言うとラファは振り続けている雨を鑑定する。
やっぱり鑑定スキルは便利だな。
「元に戻っている。浴びた者のHPを全開にする祝福の雨だ」
「おおそうか。これでこの国はもう安全だな」
クルザが俺にお礼を言う。
「本当に感謝する。言葉では表しきれない程の」
「いやいいって。俺達もこの国に用件があったし」
「用件? 私でよければ聞こう」
「夢の国ムーンランドは知ってるか?」
妖精ネフィーの目的地夢の国ムーンランド。
しかし何処にあるかはいまだ俺達は分からない。
地図にも載っていなかった。
「すまない。分からない」
「そうか気にしないでくれ。それより寿命は大丈夫なのか?」
「いやもう長くはない。だがいいんだ。私の家族がもう寿命を削られる心配がないなら」
寿命を回復してやりたいが、今の俺には無理だ。
諦めるしかない。
「夢の国ムーンランドならハンターランク10000で行ける国だ。そこには不思議な果実が実っていて寿命も回復できる」
「何!? 場所を知っているのか?」
「ああ。ここから東に百キロ程離れた場所に大海がある。そこの中心に位置する国だ。ハンターランク10000未満の冒険者は入国することが叶わない。厳重な警備によって守護されている」
「お前一体!?」
鍛冶師ニーナは一体何者なんだ?
強いうえに物知りときた。
謎が多すぎる。
「お前たち鍛冶師は必要か?」
「必要だ」
「なら仲間になってやろうか。お前の強さは興味がある」
「いいのか?」
「ああ。その代わり私の目的を果たす手伝いをしてほしい」
交換条件か。
仕方ないか。
「目的とは?」
「それはそのうち話す。それより急ぐぞ、そいつの寿命は残り少ないんだろ?」
「あ、ああ」
クルザの寿命を治すには夢の国ムーンランドの不思議な果実が必要だ。
急ぐしかない。
「ラファ、クルザの残り寿命は?」
「後1年だ」
「そうか。クルザ1年以内に果実を取って来てやる。待っていてくれ」
俺はクルザにそう断言した。
クルザは驚いた顔をしていた。
「お前は見ず知らずの出会ったばかりの人間の為にそこまでするのか!?」
「うーんどうだろうな。今回は特別かも。俺や俺の仲間に危害を加える敵は容赦なく倒す」
「そうか。ありがとう。私もこの1年間足掻いて見せるよ」
「ああ。1年後までにここに戻ってくる」
「感謝する」
俺はこうしてクルザの寿命を治すと約束した。
「勿論アイリスやラファやネフィーの寿命も治そう」
「まあ私達は1年だけしか減少してませんが」
「それでもずっと一緒にいたいから」
「はい。そうですね。私達も寿命∞を目指しましょう」
アイリスが俺の言葉に両手で力強くガッツポーズをして宣言する。
凄く可愛い可憐な少女だった。
「じゃあ先ずはここでハンターランク3000まで一気に上げよう」
全員が強く頷いた。
「私が武器を作ってやろう。素材はあるか?」
「あるぞ。色々と」
「では武器や防具を作ってやる。アクセサリーも作れる」
「本当か? 助かる」
ニーナが腕を組みながらそう言った。
「今日から宜しくなニーナ」
「ああこちらこそ宜しくレイン」
この日俺達のパーティー【アルス・マグナ】に鍛冶師ニーナが加わった。
今回はバグ化しなかったが鍛冶師を仲間に出来たのは大きな収穫だ。
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