第五十五話 VSゲーヴ
「それでゲーヴという奴はこの国の何処にいるんだ?」
「この中央区にある聖堂に居座っている。来たのは5日前だ」
「そう言えば何でお前はわざわざ雨にあたりに外に出てたんだ?」
「魔導士が来る度実力を試させて貰っていた。だがここに入国する魔導士自体少ないうえ私よりも遥かに劣る実力者しかいなかった。だが今日お前たちがやって来た」
成程。クルザはゲーヴに勝てない。
そのクルザより弱い魔導士では意味がないという事か。
あれ? そう言えば5日前からゲーヴという人物が来てるんだよな。でもそれより前から雨の国ウィールと呼ばれているような。
「なあ、ゲーヴが来る前から雨の国と呼ばれているよな」
「ああ。元々この国には雨が降り続けている。だが祝福の雨でな。触れた者を癒す雨なんだ。そして溜まらない。だがゲーヴが来てから雨の質が変化した」
成程そういうカラクリか。
元々振り続けている雨の質を変化させたのか。
厄介な能力者だな。
「そう言えば何故寿命が減少していると分かった。鑑定士でもいたのか?」
「いやこれはあくまで推察だ。だが触れた者はすぐには死なず触れ続けている奴が死んでいった。恐らく寿命を奪っている。或いはHPだがHPが少ない奴より多い奴が先に死んだ。だから寿命だと推察している」
「事情は大体分かった。兎に角ゲーヴを倒せばいいんだろう」
「ああ頼んだ。俄かには信じられないがお前は寿命が無限なんだろう」
「ああ。本当だ」
事情はどうあれ寿命を奪う雨をそのまま放置する訳にもいかない。
アイリスたちがこれ以上触れたら不味いからな。
「じゃあ行ってくる」
「すまないな。鑑定士の私が同行できなくて」
「今回は仕方が無いだろ。何せ触れれば寿命が減るんだから」
「レインは寿命がバグ化して∞だからな。任せたぞ」
「ああ任せろ」
俺はアイリスたちに行ってくると言い外へと飛び出した。
「一見普通の雨に見えるんだけどな」
普通に冷たい雨である。
だが触れた者の寿命を奪う恐ろしい雨である。
「中央区はこっちか」
俺は中央区にある聖堂へと急いで向かった。
ゲーヴside
「大分HPが増えたな。この調子ならHPを無限ともいえる数値に出来そうだ。全く都合のいい雨だ」
「お前がゲーヴか」
「誰だお前!?」
「この厄介な雨を止めに来た」
ゲーヴはレインを見て驚いた。
何せずぶ濡れの状態だったからだ。
「何故死なない!?」
「やっぱりHPではなく寿命だったか。危なかった」
「こいつ一体!?」
「悪いが目的は知らんがこの雨を止めさせてもらう」
「ちいっ」
ゲーヴは教会に置いてある机から降りて、レインと対峙する。
(何だこいつは? 何故寿命が尽きない。かなりの時間浴びていた筈だが)
ゲーヴの固有スキルは【寿命喰らい】。かなりのレアスキルである。
効果は触れた者の寿命を奪い自身のHPに変換する能力。
その時自身が指定した物に触れても寿命を奪う。
但し指定できるのは一つのみ。
「まあいい。お前を殺してやる。邪魔をするならな」
「行くぞゲーヴ」
ゲーヴはレインと戦う。
そしてレインの強さを目の当たりにする。
◇
俺はゲーヴという人物と対峙している。
黒いショートカットの男で見た目は俺より五つほど上だろうか。
ダイヤモンドの鎧とダイヤモンドの剣を身に着けている。
鑑定士のラファが居ないためステータス値は不明だ。
「はああああああああああああああああっ!」
俺は聖剣エリデリートで攻撃する。
先ずは様子見だ。
「がはっ!」
俺の攻撃を喰らい教会の壁に吹っ飛ぶ。
現在俺の攻撃力は4400+4000。
よって8400だ。
つまり相手の攻撃力は8000という事になる。
何せ聖剣エリデリートは攻撃した相手の元々の攻撃力を50%吸収して自身の攻撃力に加算するからな。
「お前の攻撃力は8000か。中々強いな」
「こいつ俺の攻撃力を!? まさか鑑定士か!?」
「さあな。だがここで倒させて貰う」
だがこいつ8000の攻撃力を受けて、まだ生きているという事はHPか防御力が高い筈。或いはどちらも高いか。
「全力で行くぞ」
「調子に乗るな。はあああああああああああああっ!」
「無駄だ」
俺は俊敏∞で余裕で回避する。
「スキル煉獄発動。スキル雷閃発動」
「何だそのスキルは!?」
これで俺の攻撃力は8400に+1000して9400。
そしてそれの二倍で18800だ。
更に俺の攻撃力に9600が加算された。
これで俺の攻撃力は28400だ。
そして同時に相手の防御力も判明した。
9600加算されたという事は相手の防御力は12000だ。
何せスキル雷閃は相手の元々の防御力の80%を削り、その削った分を自身の攻撃力に加えるんだからな。
「終わりだあああああああああああっ!」
「くそ!」
「無駄だ。俺の命中率は∞だ」
「な!?」
「はああああああああああああああああっ!」
俺は聖剣エリデリートでゲーヴを攻撃する。
ゲーヴは教会の奥まで勢いよく吹っ飛ぶ。
「がはっ! クソガキがああああああああああああ!」
こいつまだHPが残ってるのか!?
俺の攻撃力は28400で相手の防御力は月下の指輪で1000ダウンされている。
更に80%削ってるんだぞ。
つまり現在相手の防御力は1400になる。
与えたダメージは27000だ。
こいつHPが27000以上あるのか!?
「はあはあ。く、くそ」
「逃がさない」
俺はゲーヴが逃げようとしたのを見て追いかけた。
俊敏∞には無駄だ。
「終わりだ」
「ま、待て。待ってくれ。こ、殺さないでくれ」
「じゃあ雨の質を元に戻せ」
「あ、ああ。わ、分かった」
「そして二度と悪さをするな」
俺の威圧感に怯えたゲーヴは雨の質を元に戻した。
そしてホッと一息ついたその瞬間ゲーヴは誰かに攻撃される。
「がはっ!」
「何!?」
ゲーヴのHPが0になりゲーヴは消滅する。
「誰だお前は!?」
「そんな奴の戯言を真に受けるな。この善人め」
俺の前に姿を現す黄緑色の髪の少女。
凄く容姿が整っていて美人である。
「強いなお前。名前は?」
「俺はレイン。お前は?」
「私はニーナ。鍛冶師だ宜しくな」
「何!?」
俺はこの日鍛冶師のニーナと出会った。
運命的な出会いだった。
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