第五十四話 寿命を削る雨

 俺達は雨が降り続けるミステリアスな国ウィールに辿り着いた。


 「不思議だな。ここ一帯だけ雨が降り続いている」

 「本当ですね。まるで呪われているような」

 

 どういう事だ?

 魔法で雨を降らせているのか?

 それともエターナル関連か?


 「つっ――」


 俺は咄嗟に竜の盾アーグメントで攻撃を弾き返す。

 その攻撃を銀髪の長髪の青年が回避する。


 「誰だお前」

 「ほうよく防いだな。いい盾だ」

 「いきなり攻撃とは洗礼のつもりか?」

 「ここに入国する魔導士は珍しくてね。つい戦ってみたくなるんだ」

 

 そう言って俺に魔法を放つ銀髪の青年。


 「水魔法【アクアラッシュ】」

 「当たらねえよ」


 俺は俊敏∞のお陰で楽々回避する。


 「速いな。目で追えなかった」

 「俺の俊敏のステータス値は人より高くてね」

 「ほう。ならこれならどうだ」


 銀髪の青年は俺に向かって広範囲の魔法を放とうとする。

 ちいっ、街ごと破壊する気か。


 「水魔法【アクアラージ】」

 「させるか。スキル砂幻発動」

 「何!?」


 俺は相手と相手の攻撃を3秒間だけ止める。

 だが3秒あれば十分だ。


 「はああああああああああああああああっ!」

 

 俺は相手との間合いを一瞬で詰めて聖剣エリデリートを振り翳す。

 

 「アイリス」

 「はい」


 アイリスが魔剣アーレードの漆黒の斬撃で街に降りかかった攻撃を全て相殺する。


 「成程強い。君達ならあれに勝てるかもしれない」


 そう言って武器である杖を仕舞う銀髪の青年。


 「ラファ、鑑定頼む」

 「任せておけ」


 ラファに相手の鑑定をしてもらう。


 「レベル300。HP12000。攻撃力3800。防御力6000だ」

 「ほう鑑定士か。これは珍しい。ますます頼みたくなったよ」

 

 俺の攻撃力は聖剣エリデリートの効果で50%吸収して1900アップ。

 よって4400+1900で6500だ。

 対して相手の防御力は月下の指輪の効果で-1000。

 よって5000だ。

 与えたダメージは1500。

 残りHPは10500といったところか。


 「実力を試したって事か」

 「悪いがそうだ」

 「それで頼みたいこととは?」

 「雨を降らすある人物の討伐をお願いしたい。私では無理なのでな」

 「雨を降らす人物だと!?」


 銀髪の青年は「こっちだ」といい俺達をある建物に案内する。


 「座ってくれ」

 「あ、ああ」


 俺達はこじんまりとした空虚な一室へと案内された。

 そこでソファーに座る。


 「私の名前はクルザ。この国で生まれ育った」

 「倒してほしい人物とは?」

 「ゲーヴという人物だ。奴が来てからこの国にやばい雨が降り続けている」

 

 雨が降り続けているならいずれ沈没する筈では?


 「何故沈没しない」

 「何故か雨は溜まらないんだ」

 

 どうやらクルザによると雨は溜まらない様だ。不思議な現象だ。

 しかし一体何の目的でやばい雨を降らせているんだ。


 「そのやばい雨を降らす目的は?」

 「雨に触れた者の寿命を奪う」

 「何!?」


 俺とアイリスとラファとネフィーは食いつくように驚愕した。


 「私ももう寿命が恐らく僅かだ。どうか頼む、奴を倒してくれ」

 

 クルザが深々と頭を下げる。


 「分かった。任せろ」

 「すまない感謝する」

 「アイリスとラファとネフィーはもうこれ以上雨に触れるな」


 俺の言葉に強く頷いた。


 「ラファ自身の残り寿命は?」

 「私は残り60年だ。1年減った」

 「くっ。元に戻す方法も探そう」

 「アイリスとネフィーも1年減っている」

 

 雨に触れた時間は数分程度。

 それで1年も減少するのか。


 「だがお前はどうする」

 「安心しろクルザ。俺の寿命は∞だ」

 「な!?」


 ゲーヴ覚悟しろ。

 俺の仲間の寿命を削った罪は命で償ってもらう。


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