第五十二話 アーノルド家、激怒する
バレッドside
「ふざけるな! 私は連れ戻して来いと言った筈だ!」
バレッド・アーノルドは戻って来た使用人に激怒している。
使用人のアンラは委縮している。
「それでレインは戻ってこないと言ったのか」
「は、はい。追放したのはそっちで身勝手だと。冒険者としても凄く楽しいので戻る気は無いと」
「調子に乗りおってレインの奴。誰が産んで育ててやったと思っているんだ」
バレッドは苦虫を噛むように怒りを露にしていた。
随分身勝手な怒りである。
「それでレインの活躍はどうなんだ? 真実なのか?」
「色々聞き込みしましたがどうやら本当のようです。最近ではスリベルグ国にある未攻略の地下ダンジョンを攻略したと」
「何だと!? くっ、レインめ。一体どうなっている!?」
バレッドにはレインの活躍が理解できなかった。
何故なら外れスキル【経験値0】を授かった無能だと思っているからだ。
「経験値が入らない筈。一体どうやってレベルを上げている?」
「分かりませんが大層な武器や防具を装備しておりました」
「くっ、こうなったら始末するしかないか」
「始末ですか!?」
バレッドは最終手段としてレインを始末する事を考えていた。
何故ならアーノルド家を追放された筈のレインが活躍して名が世界中に知れ渡ったらレインは英雄になる。そうすれば追放したアーノルド家は見る目が無かったと一気に評判が落ちる。それだけは避けねばならない。
「ラールを次期当主にする為には奴は邪魔だ。戻ってこないなら消すしかない」
「しかしどうやってですか? あのラール様を倒したほどの実力」
「私に考えがある」
そう下卑た笑みでバレッドは言葉を紡いだ。
「入れガノン」
「はっ」
ガノンと呼ばれる筋骨隆々の男がバレッドとアンラの前に現れる。
渋い顎鬚に割れた筋肉。装備もダイヤモンドの剣というかなり強力な剣を装備している。
「こんな事もあろうかとレインの抹殺を依頼していた」
「話は伺っている。この俺様がレインとかいうガキをぶっ殺してきてやろう」
「期待しておる。報酬は巨万の富だ」
「約束は守って貰いますぜ旦那」
二人は下卑た笑みで笑った。
アンラはレインの実力の底知れなさを見て感じていた為、難しいのではと内心思っていた。
「あんなガキ余裕だぜ。少し調子に乗っているようだが、世界の広さを教えてやる」
「頼んだぞガノン。それからアンラ、ラールは今どこに?」
アンラはバレッドにラールの現状を説明する。
「ラール様は現在レイン様を倒すべく修行しております。余程レイン様が憎いようで」
「そうか。暫くは戻ってこないでいいと伝えろ」
「畏まりました」
こうしてレインを抹殺するべくバレッドはガノンという刺客を差し向けた。
だがバレッドは後に後悔する事となる。
だがそれをバレッドはまだ知らない。
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