第五十一話 アーノルド家の使用人

 俺達はスリベルグ国にある地下ダンジョンを攻略した。

 そしてハンターランクが1000になった。

 

 「おい、見ろよ。あいつらハンターランク1000だぞ」

 「どうなってんだよあんなガキどもが」

 「噂だとあの男のガキ外れスキル持ちらしいぞ」

 「外れスキル?」

 「ああ。あくまで噂だが【経験値0】とかいう固有スキル持ちらしい」

 「経験値0でどうやって冒険者として生きていくんだよ。しかも未攻略のダンジョンまでクリアして」

 「だよな。やっぱり噂なのか」


 俺達は未攻略の地下ダンジョンを攻略したことで一躍有名に躍り出てしまった。

 その分敵も多くなったと見ていいだろう。

 油断せず行こう。


 「しかし鍛冶師をどうやって探すかだな」

 「そうですね。全く当てがありません」

 「だよな。ラファは何か知ってるか?」


 俺は食堂で美味しそうに肉を頬張っているラファに聞いた。


 「ふ、ふらない。ぅわたしがぅわふぁるふぁけ」

 「飲み込んでからにしてくれ。何言ってるか分からない」

 

 ラファはむすっとした顔でゴクンと喉を鳴らし肉を飲み込む。


 「聞いて来たのはお前だろうが。私は鍛冶師など知らないぞ」

 「だよな。はあー。どうするか」

 「女神に聞けば手っ取り早いんじゃないのか?」

 「おおっ、その手があったか」


 そうだ女神に聞けば教えてくれるだろう。

 エターナル攻略の為に鍛冶師は必須だし、協力してくれるはずだ。


 「じゃあ食べ終わったら早速って、女神って何処にいるんだ?」

 「ガーレーン国の神殿ではないか?」

 「でも他にも神殿なんて腐るほどあるだろ」

 「一年に一回十五歳の子供にスキルを授ける以外何やってるか不明瞭だからな。若しかしたらしないかもしれない」

 「じゃあ無駄骨に終わる可能性もあるわけか」

  

 それにガーレーン国は俺を追放したアーノルド家があるんだよな。

 できれば会いたくないんだが。


 「まあ取り敢えずハンターランク上げつつ地道に探すか」

 「ですね。じゃあ次に行く国宿屋で決めましょうか」

 「そうだな。地図見ながら決めようぜ」


 俺達は食堂で会計を済ませて出る。

 支払い料金70000ガルド。

 その殆どはラファの分だ。

 こいつ甘いお菓子以外も凄い食べるな。

 並の冒険者では養えないぞ。


 「レ、レイン様。さ、探しました」

 

 何処かで聞き覚えのある声。

 俺は背後を振り返った。


 「お前アンラか。何の用だ」

 「バ、バレッド様がお探しに」

 「父が!? 何故?」

 「レイン様の活躍を聞いてやはり私が間違っていたと。次期当主はレイン様だと」

 「父に伝えろ。戻る気は無いと」

 「ま、待ってください。追放したのは事実ですが、寛大な心で」

 

 アーノルド家の使用人アンラが焦り顔で俺に言う。


 「どんな理由であれ実の息子を外れスキルを授かったからという理由だけで追放しておいて、今更戻れだと。随分勝手だ。それに今は仲間と冒険者やって凄く楽しいんだ。じゃあそう言う事だ。伝えておいてくれ」

 「レ、レイン様。ま、待ってください!」


 俺は使用人の言葉に耳を傾けることなく宿屋へと戻った。

 

 「追放されたんですか?」

 

 アイリスが驚いた顔で俺に聞く。


 「ああ。外れスキル【経験値0】を授かった時にな」

 「それは気の毒ですね。酷い親です」

 

 確かに酷い親かもしれない。

 何故なら昔からラールの方が優れていた為ラールばかりに愛情を注いでいた。

 それにラールが俺を虐めていても見て見ぬふり、いや推薦する行為さえ見せていた。

 そういや暴力も何度も振るわれたっけ。

 改めていい思い出が無いな。


 「しかし見事な手のひら返しだな」

 「ですね。聞いていて腹が立ちました」

 「全くだ。ああいう輩は自己中心的だからな」


 アイリスとラファが俺を追放しアーノルド家に文句を言ってくれている。

 凄く嬉しかった。


 「それより次は何処へ行く」

 「ここがいいです」

 「そこは雨の国ウィールか。ハンターランクはどれくらい上げられるんだろうか?」

 「ラファ知ってますか?」


 ラファは地図を見ながらワクワクした表情で答える。


 「ここはハンターランク3000まで上げられる国だ。そして何より謎が多い」

 「この地下ダンジョンみたいなものか?」

 「いやそれよりも謎多き国だ。内情は良く知らんが、そもそも常に雨が降り続いている国という時点でミステリアスだろ」

 

 ラファが凄いキラキラした瞳と表情でそう言う。


 「じゃあ次の行先は雨の国ウィールだな」

 「やったー」

 「楽しみだ」


 俺達は雨の国ウィールへと向かった。


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