第三十八話 従者の亡霊

 アルデリア遺跡を深く潜っていくと新たなエリアに出た。

 そしてそこは真っ暗闇だった。


 「気を付けろ。俺の傍から離れるなよ」

 「はい」

 「頼んだぞレイン」


 俺は周囲を警戒する。

 しかし光一つない空間では目が慣れるまで時間が掛かる。

 そんな時、蠟燭の灯里が一斉に灯される。


 「こいつは!?」

 「よく来たな挑戦者よ。リッデルド様にお会いしたければ先ずは我を倒して見せろ」

 「誰だお前は!?」

 「我は初代国王リッデルド・アルデリアの従者アルガーンである。謂わば右腕だ」

 「まだ生きていたのか!?」

 

 どういう事だ。

 寿命がないのか!?

 何故数百年前の人物がここに。


 「いや我はもうこの世に生を受けている身ではない。思いが具現化された状態」

 「謂わば思念体のようなものか」

 「そうだ。だが戦闘を行うことは出来る。倒して見せろ挑戦者よ」


 そう言って謎の青白い剣を俺達に向けてくる。

 こいつかなり強い。オーラが半端ない。


 「ラファ鑑定頼む」

 「任せろ」


 ラファが相手を鑑定する。

 そしてその数値に驚愕する。


 「不味いぞレイン。こいつは厄介だ」

 「何だと!?」

 「HP3000。攻撃力は2000。防御力は1000だ」

 「髑髏剣士より弱いだろ。どういう事だ?」


 髑髏剣士のステータス値はHP5000。攻撃力4000。防御力2000だ。

 完全な下位互換だ。

 決して弱くはないが、エターナルからの刺客とは比較にならない。


 「いや問題は武器効果だ。あの武器に触れるとステータス値を0にする」

 「ほう鑑定士か。貴重な固有スキルである」


 ラファを見て従者のアルガーンは感心する。

 鑑定士はかなりの激レアであるため、当然ながら誰もが欲しいスキルである。

 そして同時に冒険者には必須である。


 「ステータス値を0だと!?」

 「ああ凄い厄介な武器効果だ」

 「無限でもか?」

 「それは分からない。が、数値に関係なくその項目自体を0にできる可能性もある。決して攻撃を喰らうなレイン」

 「分かった」


 俺は距離を取り、漆黒の斬撃を放つ。

 

 「スキル煉獄発動。はああああああああああああああっ!」


 俺の攻撃力は2600に+1000されて3600。

 そして更に二倍だ。

 合計7200。終われ。


 「ぐっ。何故だ、何故攻撃を回避できない」

 「命中率が無限だからだ」

 「何だと!? そんなあり得ぬ。ステータス値が無限などと」

 「俺に経験値はいらない」

 「ぐわあああああああああああああっ!」


 俺は初代国王リッデルド・アルデリアの右腕であるアルガーンを一撃で仕留める。

 残留思念が俺に話しかける。


 「見事だ。それだけの強さがあれば我が慕いのリッデルド様にお会いする事は可能であろう。しかと見届けた、お前たちの実力を」


 こうしてアルガーンを撃破した俺はアルガーンが装備していた剣を手に入れた。


 武器【青炎の変剣】

 武器攻撃力600

 武器効果:触れた相手のステータス値を一つだけ0にする。相手の防御力は関係しない。


 どうしよう。効果は最強クラスだが攻撃力が弱すぎる。

 それに遠くから斬撃を飛ばせないから、遠距離攻撃は出来ない。

 うーん悩むな。


 「もし良ければラファいるか?」

 「いいのか!?」

 「ああ。持ってても意味ないし、俺は暫くは魔剣アーレードで行くよ」

 「そうか。では有難く譲り受けよう」


 俺はこうしてアルガーンを撃破した。

 そして青炎の変剣をラファに譲った。


 「この扉の先に初代国王が」

 「緊張しますね」

 

 俺達はアルデリア遺跡の最奥地に足を踏み入れた。


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