第十四話 新たな旅立ち

 ハンターランクが一気に30まで上昇した。

 そしてこの国で受けられるハンターランク最高のクエストは30のブラックオーガ討伐一個しかない。

 つまりもうこの国でハンターランクを上げることは出来ないのだ。

 

 「じゃあ次の国に向かうわ」

 「バグ化の条件を発見してくださいね」

 「ああ。全部のステータス値をバグ化させるのが目的だからな」

 「エターナル攻略を宜しくお願いします」

 「任せておけ」


 俺は旅立つ前に女神と会話をしている。

 そこで一つ疑問に思った事がある。


 「なあお前自身が攻略は出来ないのか?」


 スキルを授けることが可能な女神ならダンジョン攻略なんてお手の物だと思うが。


 「今の私にはスキルを授ける以外の力がありません。戦闘は無理ですね」

 「そうなのか。大変だな、毎年スキル授けるの」

 「いえ、私の自由意志の下、スキルを授けているわけではないので」

 「命じられてるのか?」

 「ま、まあ天啓に従ってるだけですね。そもそも自由意志の下スキルを与えられるのなら貴方に外れスキル【経験値0】なんて授けませんよ」

 「そりゃそうだよな。もしそうだったらお前を永遠に恨んでるわ」

 

 女神曰く天啓の下、本人のポテンシャル、謂わば相性のいいスキルを授けるようだ。例えばエイレンが授かったスキル【神速の剣聖】は相当な才能がないと扱えないスキル。だが複数存在するスキルである。謂わば唯一無二ではない。

 だが反対に俺の外れスキル【経験値0】は唯一無二のスキルである。

 つまりバグ化が出来るのはこの世界で俺だけである。


 「レイン――貴方に御加護があらんことを」

 「ありがとう」


 女神がそう呟く。俺は礼を言いながら神殿を去った。


 そして次なる国に向けて俺はガーレーン国を出国した。

 次の目的地はここから東に30キロ程離れた国、ムーランである。

 そこそこ大きい国で魔導士も多い。

 そこでハンターランクをガンガン上げよう。

 そして同時にバグ化の条件を探っていこう。


 「試しにジャンプとかしてみるか」


 俺はムーランに向かう道中ジャンプとか、転がるとか色々した。

 しかしバグ化する事は出来なかった。

 うーん条件を特定するのは難しいな。


 「あれは何だ!?」


 道中の街道で赤髪の少女がミニドラゴンと思しきモンスターと戦闘を繰り広げている。

 そしてかなり苦戦している。


 「助けよう」


 俺は赤髪の少女を助けることにした。


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