第十二話 グランアード、噂を耳にする

 グランアードside


 エイレンがパーティーリーダーのパーティー【グランアード】は現在絶好調だった。


 「よし、これでハンターランク15だな」

 「おう。俺達あの無能を追放してから絶好調だな」

 「疫病神が消えたからな。まあ少しは悪いと思ってるよwww」

 「分かるわ。ほーんの少しだけ罪悪感があるよなwww」


 エイレンとディンガはレインを馬鹿にした会話をしながら食堂で食事を取る。

 遅れてカルラとレインの代わりの新メンバーのルートがやって来た。


 「何の話をしてたの?」

 「いや何レインの話だよ。あいつその後どうなったのかなって?」

 「確かに同じ国なのに姿見てないね」

 「まあ今更あんな奴どうでもいいけどな」

 「そういう言い方は良くないんじゃ」


 カルラが少し申し訳なさそうにそう言う。


 「お前だって追放に賛成しただろうが」

 「あれは、だって……経験値0は無理だから。私のレベル上がらなくなっちゃうし」

 「つまりそう言う事だよ。あいつと一緒にパーティー組みたい奴なんかこの世にいる筈ないんだ。もうどっかで野垂れ死んでるかもな」

 「でも本人は悪くないんじゃ」

 「才能も本人の責任だろwww」


 そう言ってエイレンはブドウジュースを一気に飲み干す。

 そんな時だった。


 「おい誰かがあの魔盾ガーディンを購入したそうだぞ」

 「嘘だろ。あんな高い物誰が!?」

 「噂だとレインの奴らしいぞ。他にもアイテム一杯買ってたり、最高難易度クエストに挑戦したりしてるって」

 「何かの間違いだろwww。あの外れスキル【経験値0】のレインにそんな真似できる筈がねえ。聞いた話によると実家からも追放されているそうじゃねえか。財力なんかねえよ」

 「だよな。やっぱり噂は噂か」


 エイレン達は驚きの余り噂をしている奴らをガン見する。


 「おいエイレン今のって」

 「噂だろ。デマだよ、デマ」

 「あ、ああそうだよな」


 この日エイレンとディンガの心境は少しだけモヤモヤすることになる。

 だがエイレンは信じてはいなかった。

 所詮噂は噂だと。

 だがその噂は紛れもなく真実であった。そしてそれに気づくのはまだ先である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る